ストレスマネジメントの方法

ストレス社会ストレスマネジメントについて以前ご紹介する記事を書きましたが、このページでは、その具体的方法などについても、幾つかの記事にまとめてみたいと思います。

繰り返しになりますが、ストレスマネジメントは15年ぐらい前から、少しずつ世間に現れ始めた言葉で、ストレスをマネジメントしようとするものです。

マネジメントと言えば、経済の話のようにも聞こえます。ここではお金の話ではなく、ストレスとの付き合い等について書かれているとお考えください。

ストレスとは

そもそもの話になってしまいますが、ストレスとは何のことでしょうか。

日常的に使われる言葉ですが、その実態を具体的に説明しようとすることは案外難しいものでもあります。

ストレスは、元々物理学等の方面で使われている用語ですが、我々の心身と関係して意味を帯びてきたのは、ハンス・セリエ博士のストレス学説(1936)登場以降のことのようです。

我々の心身はストレッサー(ストレスの源のことで、騒音や寒さ、暑さなど生活のあらゆる所に存在)に曝された時、影響を受け、様々な変化が現れるようなのです。

人前でのスピーチの後に胸がドキドキしたり、パソコン作業で肩が凝ってきたりと、これらはストレスが関係してきているようなのです。

ストレスマネジメントの方法について

具体的方法と言っても、既にストレスマネジメントは実践されていることが殆どです。それは、世間にもともとある、ストレス解消などという言葉が代表するように、ストレスをやりくりしようとする動きは、日常化されているからです。

運動例えば、買い物、入浴、音楽鑑賞、スポーツ、外食などは、ストレス対処に関係してくる、我々に馴染みのある行動です。たまには体を動かした方がいいよ、などとよく言われますが、普段デスクワークばかりの人にとって、開放的に体を動かす時間は、ストレスマネジメントの視点からしても意味のあるものと言えるでしょう。

このように、我々は、知らず知らず自然とストレスマネジメントを実践しているのです。

では、なぜ改めてストレスマネジメントなどという言葉が用いられるのでしょう。何か体系化された方法でもあるということなのでしょうか。

それとも、専門的な方法ということなのでしょうか。ストレスマネジメントの沿革については、また別に触れるとしても、学校の授業にストレスマネジメントが取り入れられていることもあります。

スクールカウンセラーの配置が進んだことも関係していると思います。また、職場では、メンタルヘルスという事が重視されるようになり、昨今では、ストレスチェックが義務になります。これらのことも、広い意味ではストレスマネジメントの方法という事の一部に含まれることと考えて良いと思います。

専門的方法

まず、臨床心理士などがストレスマネジメントを実践する場合に、専門的な技術・穂方法を用いて臨むことになります。その中で使われる方法に、リラクセーション法が登場します。背景には漸進的筋弛緩法や自律訓練法、臨床動作法などの専門的に体系化された方法論がありますが、それらを活用したリラクセーションという位置づけのもとに導入される場合があります。

  • 漸進的筋弛緩法

エドモンド・ジェイコブソンによって考案された方法です。長い歴史があり、現在でも心療内科等の領域で活用されています。非常に導入しやすい方法でもあり、教育現場や産業関係でもよく用いられています。

  • 自律訓練法

ドイツのシュルツによって考案された方法です。漸進的筋弛緩法と同様に、心療内科などで用いられています。体を大きく動かすような方法ではなく、手や足の重温感などの練習からはじめる方法です。

  • 臨床動作法

日本で成瀬悟策によって、考案された方法です。元々は動作改善の方法として始まりましたが、その領域は拡大し続けています。スポーツ動作法という分野も登場しています。

これらの方法はそれぞれに特徴があります。どの方法を選択・活用するかによって、ストレスマネジメントの内容も変化していきます。何を狙いとした企画であるかによって計画の立て方は異なっていきます。

ストレスの把握

次にストレス状況の把握についてです。

ストレスマネジメントを実践する際には、広い意味ではストレスの状況を把握するということも含まれていると書きました。ストレスを把握しようとしたら、どのような方法が考えられるでしょう。ストレスチェックのチェックリストのようなものは各種作成されています。

厚生労働省がストレスチェック義務化に合わせて、推奨予定の調査票もあるくらいです。このような調査票を活用することでも、ストレス状況の把握には役立つと思います。

また、ストレスのことを勉強しておくことも、ストレスの自覚に役立つことがあります、ストレスを受けた時、人には様々な心身の変化が起きるとされています。例えば、血圧の変化や発汗など様々です。

千葉県のアンケート調査

ストレス調査このグラフは、平成23年度に、千葉県健康福祉部健康づくり支援課にによって行われた、「生活習慣に関するアンケート結果の概要」にまとめられた内容の中で、ストレスの有無について質問する回答結果の一部を、グラフ化したものです。該当ページに、調査の全容がまとめられています。

このアンケート調査では、6000名に協力を求め、有効回収数は2694人だったと記されています。つまり、千葉県民2694人に、ここ一月のストレスの有無を尋ねたところ、上記グラフのような結果が示されたことになります。

「たくさんあった」、「多少あった」を合計すると、66.4%の人が、ストレスが多少なりともあったと回答していることになります。

ストレスマネジメントでは、このような調査結果をもとに、支援策を模索していく方法も必要とされていきます。

ストレス対処

もう一つには、ストレスの状況が把握された場合、どのようにそのストレスを対処していけるものか、という問題があります。ストレス自体を減らす方向に考えたらよいものか、ストレスがあっても大丈夫な状態を考えるか、この辺りも興味が集まるところです。

これまでの一般的な考え方に則れば、ストレスを数値化し、数値を低減させていけるような計画が求められるかと思います。しかし、単なる足し算、引き算的な発想だけでは不足する面が出てくるように感じます。

ストレス対処の方法は、個人的なものから、上述した漸進的筋弛緩法などの専門的な方法、また組織の仕組みやシステムなどの面からも考えられるものです。

啓蒙活動

ストレス ワークショップストレスマネジメントを一つの大きな活動と考えた場合、啓蒙的な活動も役に立ちます。これは、分かり易い所で言えば、学校の保健室が、毎月保健室便りなどを発行して生徒や家庭に配布しています。

そこには感染症に対する予防法や注意が書かれていたり、栄養のバランスに関することが記載されていたりします。このような保健室便りを読むことによって、保護者や生徒は、自分の健康に関係する知識を深めていく機会が得られます。

ストレスの場合も、近い発想が役に立つと考えられます。ストレスに関する記事を書いて配布したり、ストレスに関する勉強会や、ストレス対処の方法を学ぶワークショップの規格などもこの活動にあたるでしょう。

  • 厚生労働省が発表している資料

もし、1000名ほどの人に、一人でストレス調査を行おうとしたら、非常に多くの時間を費やすことになります。個人レベルでは難しいと言えるほどです。先に千葉県のアンケート結果を紹介しましたが、厚生労働省も、ストレスに関係する調査を行っています。こうした資料を活用することも意義があるのではないでしょうか。

活用分野

ストレスマネジメントはどのような分野で、どのように用いられているのでしょうか。

まず、教育関係での実践があります。中学や高校、大学などにおいて、ストレスマネジメントは導入されています。授業に取り入れる場合から、研修のように行われる場合があります。食育という言葉を耳にするようになりましたが、ストレスマネジメント教育という言葉も登場してきました。

産業領域

次に、一般企業等での職員を対象とした実践が挙げられます。従事する職員のストレスを軽減することは重要な意味があり、過重労働の問題とも関連してくることと考えられます。

職場によっては新人研修の一コマに、ストレスマネジメントに関連するような時間が設けられているのではないでしょうか。

その他、地域住民を対象とし実践、医療機関での実践などが挙げられます。その組織にあった形・スタイルでの取り組み方が重要であると考えます。

継続の会

単発や数回のシリーズで開催されることがほとんどだと思いますが、一つの方法として継続の会を行う事にも大きな意味があると考えています。

毎月第3金曜日の夜間帯などと決めて、集まり、参加者同士で自主的に会を進めるなどの方法があります。自然発生的にはじまることもあり、それは能動性の表れのように感じています。

ストレスマネジメントを学ぶ

ストレス社会と言われ始めて長い年月が過ぎたように思いますが、このような社会の中で暮らしていく一つの術にストレスマネジメントの活用が挙げられてくるのだと思います。負担になるような学び方は一層ストレスが増えてしまいそうですが、知っておいて損はしない方法もあるのではないかと思います。

また、ストレスマネジメントはまとめきれるものではないと考えています。人間の生活が多様であるが故に、一つのパッケージで全てのストレスがどうにかなるはずはなく、あくまで一つの方法であるという点と、それぞれの個別性を大事にした形のストレスマネジメントが展開していくことを期待したいと思っています。

プログラムの考案

もし、自治体規模でストレスマネジメントを実施しようということを思い立った場合、どのような企画がなされるでしょうか。

自治体が企画する催しは多くあり、これまでにも健康に関する企画などはされてきたはずです。例えば千葉県では、健康増進法を背景に、「健康ちば21」という計画を策定し、平成14年から取り組んでいます。

栄養や運動等の観点に注目し、各種計画がなされています。具体的には、研修会の開催等が計画されたようです。このようにして、千葉県民の健康を増進していこうとしたわけです。上述した、千葉県民を対象にしたアンケート調査も関係しています。

「健康ちば21」を例に挙げましたが、我々は小規模ながらも「健康ちば21」のように、ストレスマネジメントという視点から、何らかのプログラムを考案、実践することは可能なのでしょうか。当然可能なのですが、それはどのような形なのでしょう。

例えば、

  • 啓蒙的な意味での、ストレスに関する講演会の開催
  • ストレスマネジメントに関する何らかの組織の立ち上げ
  • ストレス対処の方法に関するグループワークの定期開催
  • ストレスに関する調査の実施

など

このようなことがまずは想像されていきます。

見渡せば、県内や市内には多くの団体が活動しています。また、多くの学びの機会があります。同様にストレスに関する団体活動を増やすという方法が考えられるのではないでしょうか。漠然としてしまう内容かも知れませんが、検討を重ねながら形にしていくことは可能なのではないでしょうか。

もちろん、他の団体活動と同様のモデルが使える部分と、ストレスマネジメント特有な部分も当然出てくると思いますので、そこに検討の余地があると思います。

先に述べたように、このような発想から、何らかのパッケージを作成することは可能だと思います。しかし、一つのパッケージだけは不十分であることは明白であり、工夫が求められていくものと思います。

ワークショップ

最後にワークショップについて触れたいと思います。

ストレスマネジメントは、非常に多岐にわたる分野で用いられる言葉となりました。そのため、ワークショップも細分化され、自分が求めている情報に行きつくには、どの種類のワークショップに参加すべきかを検討しなくてはいけません。

  • 対人援助職のためのストレスマネジメント講座

例えば、上記のようなタイトルの講座の場合、対象者は、看護師や医師、ケースワーカーなどの医療従事者や、福祉関係機関に従事する人達であることがわかります。そして、対人援助職者自身のストレスをテーマにした会であることが想像されます。

対人援助職の人で、自信自信のセルフケアに役立てたいという人には参加する意義があるでしょう。一方で、対人援助職として、ストレスマネジメントを自分の病院や施設で活用したいという人にとっては、目的が異なる会になりそうです。

  • 管理職のためのストレスマネジメント講座

ストレスマネジメント講座さて、この場合は管理職自身が、セルフケアと学ぶことを目的にしているとは考えにくいものです。管理職として、組織体のストレス対策などに生かすことを目的とされた企画なのではないでしょうか。

このように、参加するワークショップを間違えてしまうと、無駄にはならないと思いますが、目的からずれてしまうことがありますので、参加の際は案内をよく読むなどして申し込むようにしたいものです。

実際のワークショップの様子

ワークショップにもスタイルがあり、パワーポイントを用いた講義中のワークショップもあれば、実技中心の場合もあります。下記に一つの例を示したいと思います。

下記に紹介するのは、参加した人が体験的にストレスマネジメントを学ぶことができるように工夫した内容です。このようなワークショップを経験することで、自分自身がストレスマネジメントを企画する場合に役立つことがあります。また、参加することで、リラックス感も得られるという点も特徴として挙げられるでしょう。

  • 1.ストレスに関する講義

まず、前半に、ストレスに関する講義を行います。やはりパワーポイントを用いると分かり易いと思います。図や写真をふんだんに使用します。講義はレクチャー形式で行うものと、参加者と双方向に行うものとが考えられます。

  • 2.実技

後半は実技に入ります。漸進的筋弛緩法を主な方法として計画しています。実技の手順については暗記できてしまう程に何度か繰り返すくらいを考えています。メモを取って覚えるようなものでもありませんので、この時間で覚えてしまえるような構成になっています。

  • 3.まとめ

1日のワークショップを振り返りまとめます。参加者がどのような体験をしたか、感想を聞いてみる時間があっても良いでしょう。

まとめ

ストレスマネジメントの方法について概観しました。一般的なストレスマネジメントの方法から、専門的な方法までを挙げてみました。

ストレスマネジメントは、企画する人によってその実施スタイルが異なっていると感じることがあります。対象者が一定ではないのですから、臨機応変的にスタイルを作れることは、より現場の実情にあった方法として発展していける可能性があるのではないでしょうか。

継続していく中で、新しい方法が見出されていくということもあると思います。ノウハウも大事ですが、一種の文化のように浸透していくものという性質もあるように思います。

  • 最後に:ストレスは敵か味方か

どうやらストレスは我々の心身や行動面に影響する存在のようです。ストレスマネジメントを進める中で、低減されていく面もあることでしょう。また、早期に軽減されてほしいストレスも多く存在します。

一方的にやってくるストレスをどうにかしてしまいたいという気持ちになって不思議ではありません。ストレスには何か存在価値があるのでしょうか?調味料でいうところのスパイスのようなことと例えられることもあるようです。