カウンセリングは自由にして安全な空間

カウンセリングは非日常的な空間・時間であることを記事にしてきました。

非日常という響きからは、異質であるとか、変わったというニュアンスが感じられますが、当然のことながら自由で安全な時間かつ空間であるように努めてもいるわけです。

部屋の温度・湿度

自由にして安全で守られた空間まず初めに、物理的なレベルの話から書けば、カウンセリングに集中していただけるような環境を保つことが安全性を高めることに関係してきます。面接用の机や椅子から釘が飛び出していたり、ささくれがあっては良くないでしょう。

また、部屋の温度調整であったり、湿度であったり、照明の強さであったりします。真夏にエアコンのない部屋でカウンセリングを成立させることは難しいでしょう。

もちろん部屋の構造などの関係で不可能なことも多々あるものですが、せめて暑い、寒いなどのことに関しても話し合える時間であることが重要であると思っています。

自由であること

物理的な安全とは異なりますが、カウンセリングの時間の使い方は自由であるということも安全に使っていただくことに関係していると考えます。この点は非常に重要であり、またカウンセリングの時間特有といえるほど普段の生活の中では困難な環境ではないかと感じています。

話の順番や時間の振り分けも自由

カウンセリングというと何かを話し続けなければいけないとか、答えを出さなければいけないと感じることもあるでしょう。しかし、語りのタイミングやペース、内容は基本的にご本人の自由なのです。50分間の中で、どの話題をどのようにお話になっても良い時間ということになります。

時間ははっきり決まっていますが、その時間配分は自由ということになりますから、このことは安全感に関係してくるように思います。

たくさんの話をすることとか、最も深刻なことを話すということがカウンセリングの本質にはならないことがあるわけです。

カウンセリングの時間は、60分、ないしは50分と決まっておりますが、その時間を、相談にお見えになった方が自由に使えるよう意識しています。

あらゆる方向に開かれた時間であること

また、カウンセリングの中で語られる話題について、カウンセラー本位に方向性を決めつけず、様々な方向に開かれた面接を意識します。

例えば、何かの苦しさを伴う出来事を経験したとき、その苦しさについて十分時間を使う機会はなかなか日常生活上では難しいことがあるように感じます。

これを悪いことと言いたいわけではなく、日常生活上では、どうしても前向きな方向へ進もうという雰囲気があることも関係しているのではないかと考えています。

「いつまでも悔しんでいても仕方ないから、何かをはじめましょう」というセリフは、希望に満ちた言葉であると思います。このような言葉のもとに、次の段階へ物事が進んでいくことがあるのだと思います。

半面、別な見方をすれば、悔しい気持ちでいることは、否定されるべきことなのでしょうか、という疑問を抱きます。

悔しさをないがしろに、希望にばかり目をあてていいのだろうかという迷いも浮かびます。悔しさも一つの大事な感情であり、そこに割く時間もまた意味のあることなのではないでしょうか。

カウンセリングでは、こうした日常ではスポットの当たりにくい事柄へ、十分に時間を使っていただいたとしてもそれは自由なのです。

もちろん、カウンセラーがこれが大事なところだからと無理に希望していない話ばかりをすることはありません。

詳細を話すことが最も望んでいる事とは限らない

カウンセリングで起こりがちな誤解の一つに、全ての詳細を事細かに話すことが重要なのだということがあります。詳細に伺うことが意味あることもあれば、時には、長時間触れたくない話題もあり得るのではないでしょうか。

その場合、50分という時間の中で、それほど多くの時間をその話題に費やしてはいけないことになります。そのタイミングでは5分ほどに収めておきたいという心境のときもあるはずです。その躊躇いを尊重することの方こそがカウンセラーに求められる態度ではないでしょうか。

このような態度が、カウンセリング時間中の自由感へも繋がっていくのではないでしょうか。

その人の時間

最後に繰り返しのようでもありますが、カウンセリングは、基本的に1対1で行っています。そのカウンセリングの時間は他の予定を入れず、カウンセリングの時間として確保してあるのです。

このように時間を確保することもまた、案外日常生活上では困難です。携帯電話が鳴ってしまったり、親戚がやってきたり、子供が学校から帰ってきたりと、目の前の人だけの時間とすることは工夫が必要になります。

時間は限られていますが、カウンセリングでは、その人のためだけの時間として予約をお取りするわけです。

このような特殊な空間・時間を積み重ねていく中で、安全な感覚を得ていただける場合があるようです。もちろんそこには、無理に安心しなくても良いという自由もあるのです。

こうした特殊な空間を管理することもカウンセラーの専門性と考えて良いのではないかと感じています。

カウンセラーが心理学を学ぶ意義   気軽よりしっかり相談できる場所という性質

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