とても大事な物語

本

 

カウンセリングでお話になるという行為は、もしかしたらためらいを感じることかもしれません。 そのためらいを大事にしていただきながらお話を伺いたい気持ちでおります。

 

 

 

カウンセリングは、カウンセラー主導で無理に押し進めるものではないと考えています。

経済や文化、文明が日々忙しく流動しているように、

カウンセラーを取り囲む事情も日々流動しています。

臨床心理士(心理カウンセラー)の使命や役割として、社会からの要請は多岐にわたり、

益々その範囲を拡大させています。

特に臨床心理的地域援助という専門性をもつ中では、企業や学校などの組織の

中へ入って活動するなど、直接的なカウンセリング以外の活動も増えています。

これらの要請に応えることは、我々の一つの使命であると受け止めると同時に、

臨床心理士の専門性の中核であると考えている、個々のカウンセリングを

大事にしたいという思いがあります。

 

カウンセラーが変わらない態度で、可能な限りいつもその場に居続けるという行為を、

少なくとも当オフィスの本業としたいのです。

    これは、当然のことのように思えますが、実際には相当のエネルギーを要し続けて可能になることであると思っています。

人が住まなくなった廃屋は、直ぐに痛んでしまいますし、神社やお寺が1000年もさほど形を変えずに残っていられたのは、それを手入れしてきた人たちがあってのことです。

 

カウンセリングでは、ご相談にお見えになった方のお話をお伺いするわけですが、

カウンセラーを目の前に、ある一定の時間、面接室の中で語られるそのことは、

特殊な体験を伴う時間となる場合があります。

実はカウンセリングでは、普段意識の向かなかった新たな視点や

意味が見つかったり、向かいたい方向が明らかになってくることがあります。

カウンセリングとは、個々に語られる物語を大事に扱いたいとする

時間のことではないかとも感じております。