見知らぬカウンセラーであること

知らない人

 

 

カウンセラーは日常生活上で接点のない存在であることが、カウンセリングの一つの特徴であると感じます。評価や普段の人間関係上の立場などから離れたものです。 

 

 

カウンセリングの特徴の一つに、お話をお伺いするカウンセラーが、基本的に日常生活上で接点がない者であることが挙げられます。

特に、当オフィスは独立した機関であるため、この特徴を挙げやすい立場にあると考えます。

どこか閉鎖的で、もっと開かれた場所にすべきではないのか?と思う方も多いと思いますが、このような性質を担保するためであることをご理解いただけましたら幸いです。

学校などの組織内に、相談室が設置されている場合では、どうしても廊下ですれ違ったり、何かのイベントで一緒になったりすることが自然と起きやすいはずです。

そういう意味では、組織内で行う場合には、その組織にあった工夫が必要になります。

その他、例えば友人やご家族が相談相手の場合、相談が終わった後もその関係は続きます。

それは、相談のあとに友人と食事に出かけたり、友人から別な相談話しがはじまることも十分あり得ることを意味します。

このようにして、友人との関係を深めていくこともあるでしょう。

一方、心理カウンセリングの場合は、お約束いただいた時間にオフィスの中でお会いする以外に、日常的な接点は基本的にありません。

これは特殊な場面・人間関係とお考えいただけるかと思います。

この特殊性もあって、友人やご家族との間では意識を向けにくいことにも、気兼ねなく十分意識を向けやすくなるのではないかと考えています。

例えば、休暇を取りにくい友人に向かって、旅行の話題ばかり出すことは気がひけてしまうのではないでしょうか。

ご友人は一回の旅行さえも行けないほどに忙しいスケジュールでいるのに、自分が旅行のことで悩んでいるとは、気を使って言い出しにくいものと思います。

ですが、その方にとっては確かに旅行のことで悩んでいる気持ちは存在するわけで、このような場合には、ご友人との会話の中では、語られることのない思いが残ってしまうかもしれません。

その人にとって意味のある気持ちや話題に十分意識を向けていただけるような時間と場所を守っているわけです。