シルクロードの惨敗

Bさんの企画は壮大な内容でした。

コンセプトは、シルクロードにあるような市場を、都心の百貨店のワンフロアに出現させるという企画でした。フロアの床も全部石畳にして徹底的に異空間を作り出したいということでした。場合によってはスタッフの服装にまでこだわりを持たせるつもりだったようです。

Bさんの中にあったインスピレーションを使ったそうです。多くの人が行き交う市場に、溢れるように積まれた見たこともないような野菜や果物の数々に胸躍る経験をした時があったとか。

シルクロード

 Bさんは、この企画を通して、市場を単に食品を手に入れることを目的とした場ではなく、生きて行くことにワクワクする感覚や、胸が躍るような要素を持たせたいと思ったのです。

野菜の入手経路、照明の種類、石畳に使用する石の種類など、予算も合わせて、事細かにプレゼンに組み込みました。渾身の一作でした。

主席していた役員たちも、夢中でプレゼンに聞き入っています。もしかしたら、この企画通るのではないでしょうか。

数日後、残念ながらBさんの企画の不採用が決まりました。素晴らしい企画だったが、果たして集客が見込めるのか、不透明な面が多いという理由だったそうです。

Bさんの惨敗でした。しかし、Bさんはどこか清々しささえ感じているのでした。何かがBさんの中で動いた瞬間だったのです。

◇ある30代女性Bさんの生き方

この物語風記事は数話に分けて書かれています。

第6話へ進む→ coming soon    

第1話から読む→Bさんの迷い~後輩から届いた招待状~