一つの人生の形

結婚式で見た後輩は、とても幸せそうで、迷いなど感じられない様子でした。

Bさんは「うらやましいなぁ・・・」と小声でつぶやきました。同じテーブルの人はしっかりとその言葉を聞いており、<大丈夫、次は貴女の番よ!本当はもう秒読み段階なんでしょ?>

激しい何かが蠢いた

この会話の後に、Bさんの中では何か激しいものがうごめいたように感じられました。この時、自分の思いがはっきりとしたのです。なぜ後輩がうらやましく見えたのか、同じテーブルの同僚の言っていることは完全に的外れなことだったのです。

Bさんにとって、結婚がうらやましかったのではなく、はつらつと自分の人生の歩みを進んでいく後輩のその姿がうらやましかったのです。前々から後輩が堅実に生きていることを知っていたBさんは、いつも後輩を目にするたびに、自分自身への不甲斐なさを感じていたのです。

求めている方向性は別だけれども、後輩はしっかりと自分の歩みを進めていたのです。反面自分自身はどこか停滞を感じていて、くすぶっていたように感じていたのでした。強い不全感があったのです。

うきうき

披露宴の最中でしたがBさんは、急に手帳を開き、当面半年のスケジュールを確認しました。以前から考えていた、あの企画を実行し、勝負に出ようと思い立ったのです。

結婚もしたいけれど、今の自分にとっては、仕事で一つの納得いく結果を出すことこそが重要だったのです。それに立ち向かうことが、現在の不全感を払拭してくれると、そんな期待を持ったのでした。人が何と言おうとも、今のBさんにとっては、そのことが最も対決したいことだったのです。

後輩の結婚式を通して、Bさんはこんな体験をしたのです。それは自分の人生の方向性を見出したかのような体験でした。

その後のBさんは一体どうなったのでしょうか。

人間は時に、爆発的に動き出すことがあるもののようです。それは、エネルギーを注ぎたい方向性が見えた時とも言えるでしょう。これまでくすぶっていたものが一気に流れ出すのですから、その勢いは鉄砲水のごとく強烈です。

◇ある30代女性Bさんの生き方

この物語風記事は数話に分けて書かれています。

第4話へ進む→新企画のプレゼンに挑戦するBさん