葬儀の簡略化に気づく機会はそれほど多くない

ブログ著者:臨床心理士 松田卓也

葬儀 気持ち・性格・自分自身

現代社会において、はじめから終わりまで、葬儀に関わることはそれほど多いものではありません。

10年に1回か、またはそれ以上くらいの間隔になることもあるでしょうか。

10年経てば世の中は変わるものです。

それは葬儀においても無関係ではなくなってきました。

葬儀の簡略化が着実に進んでいる

葬儀の執り行いかたは地域によっても様々なもので、共通の見解というものはないのでしょう。 葬儀は信仰心から行われることなのだと思いますが、日本人がそこまで信仰心を動因にしているかはわかりません。

文化と捉える方もあるでしょうか。 現代社会において葬儀の簡略化を目の当たりにし、動揺を覚えた方は全国各地にいらっしゃるのではなかろうか。

身内を亡くすことは誰しもがいつかのタイミングで経験せざるを得ない事ではあります。 身内の葬儀だからこそ、それは実体験として残りますが、縁の遠い人の葬儀に顔だけ出すような場合とは、本人の中でずいぶん意味が異なると思います。

葬儀の全てを経験することは通常それほど多くはないことになります。 そのため、葬儀の簡略化に決定的に気づくのは、10年、20年などの歳月が空いて近親の者の葬儀を経験する時ではないでしょうか。

通夜の省略

大きな省略では、通夜が行われないようになっているようです。

通夜か葬儀かのどちらかに参列しようという考えはあったと思いますが、そもそも通夜が行われなくなっている模様です。

寝ずの番の省略

地域によっては、通夜の夜に寝ずの番があります。これは、線香の煙を絶やしてはいけないという意味のようで、徹夜して線香を立てて行くわけです。 非常に体力的にはキツイものとなります。近親者が亡くなったばかりなのですからなおさらではないでしょうか。

昨今は、この寝ずの番が省略されていると聞きました。おそらく高齢化と火事を懸念してのことなのだと思います。 代わりに、電化製の線香などを一晩着けて置くことになったそうです。

気持ちが追いつかない

おそらく寝ずの番の意識されていなかった意義の一つは、故人をしのぶ時間ということだったのではないでしょうか。

寝ないで身内同士昔のアルバムなど引っ張り出し、故人の事を良い人だった・・・とか、なんで先に・・・などと言い合う時間となっていたことはないでしょうか。 これはいわば、残された者たちからすると、気持ちの整理をさせてくれる機会になっているのではないでしょうか。

人、一人が亡くなった時、我々は長年多くの時間や労力、そして費用までも割いて弔ってきた歴史があります。

それを経済的感覚からすれば省略・簡素化という方向に走るのは意味が通りますが、しかし、果たして残された者達の気持ちこそ浮かばれずに漂うことになってしまうのではないでしょうか。(或いは亡くなった人の人生を軽んじるという風にも言い換えられるでしょうか)

葬儀のために財産を崩してしまうというのも考えなければならない深刻なテーマです。新生活運動などはそうしたことからはじまったのでしょうか。(参考サイト:新生活運動を推進しております(葬儀の簡素化運動)) 同時に、我々の浮かばれない気持ちにもスポットがあてられるべきではないかと思っています。

関連ページ:気持ちの整理がつかない

実は、ここにもカウンセリングを専門とする臨床心理士などという専門家が現代社会に登場してきた事情があるものと考えています。

これまでの社会では自然と暮らしの中に亡くなった人を偲び、段々と生活に戻っていく、いわばケアシステムが社会の中に存在していたわけですが、段々とそれらが変化、薄れていく中で、専門家なる者を登場させてバランスを保とうとしている流れが見えるのです。

関連ページ:喪失とカウンセリング

簡略化の背景には、経済的事情もある

昨今の世の中の動きを見ていると、物価高が大きな関心事項になっています。

また、よりダイレクトに言えば貧困・格差問題も令和においてよりクローズアップされています。

これは決して葬儀とも無縁のことではないでしょう。

経済困難が進めば、生活がせわしくなり、皆働きに出ていきます。

夫婦共働きの背景は、多様化ということのほかに、働きに出ざるを得ない経済状況があることも忘れられない要因です。

すると、誰かが亡くなっても、なるべく早く仕事に戻ろうとする心理が働くようになるのかもしれません。

薄情な人が増えたということではないのです。

関連ページ:お金がなくなると、心の余裕を失ってしまうのか・・・

葬儀業の世界にも変化が起きている

コロナが最大の転換点になったことは多くの人が考えるところだと思います。

多くの人が参列する葬儀の形が、感染対策の関係で困難となった時期がありました。

その際、個別に葬儀が行われましたが、コロナからだいぶ経てもそのままになっている模様です。

調べてみると、葬儀業の倒産が起きている模様です。

参考動画:「葬儀業」競争 老舗と新興で二極化 価値観多様化で変革期【知っておきたい!】【グッド!モーニング】(2025年9月22日)

ANNnewsCH チャンネル

まとめ

明らかに、社会は変動しています。

10年単位で考えれば、10年前くらい(2015年)にスマホが浸透し、今ではスマホ前提の社会のようになっています。

久々の葬儀に出たら、知らないお坊さんが来るかもしれません。

お坊さんも世代交代したのです。

世の中には、無縁仏が増えていると聞きます。