リラックス度を測定したい

計測機器

最終更新日 2025年4月11日

ストレスマネジメントなどでリラクセーション法を用いる時、参加者からしてみれば何がどうなったらリラックスしたことになるのか?と疑問が挙がることもあると思います。

リラクセーションを実感を持って体験することで「こんな感じ」という風に腑に落ちることも多々ある。

こうした理解の方が実際的には有用であろうとは思われるが、その他の手段を探しているという方もまた珍しくないものです。例えば研究者などは、どうやってリラックスの指標を構成するか悩みどころなのでしょう。

リラックス度を数字に置き換えて測定する

一つ、古くからの心理学的手法を用いるなら、「質問紙」のようなものを使用することでしょう。

実際、多くの論文ではそのような質問紙が用いられています。

探せば、リラックス度に特化した指標もあるのだと思います。

また、もっと科学的な方法をということであれば、脳波や唾液、皮膚温度、脳血流のような生理的指標を用いることになります。テレビ番組などでは、予算があるのか多くの最新機器を活用して健康状態をモニターするような番組をよく目にします。

予算や研究環境があるのなら、各種最新機材を用いるのも説得力があるのではないでしょうか。最近はスマートフォンが、体の生理状態をモニターするそうですが、どの程度の妥当性があるのかはわかりません。

勉強会の、その場でリラックス度を測定するには

いろいろ工夫されています。その場の環境にそぐわしい手段を選択すると良いのではないでしょうか。例えば、ナース対象の勉強会であれば脈を使うのは馴染みやすそうです。

簡易な質問紙

やはり、簡易な質問紙を使うことが多いようです。参加前後の得点が15点から34点に上がっていたら、リラックスしたことを納得なさるかもしれません。逆に緊張状態の尺度を用いるなら、50点が20点まで下がっていたら、緊張が和らいだ、つまりリラックスしたと言えるのでしょう。

このような発想に基づけば、POMSという心理検査は一つの候補となるでしょうか。しかしながら、倫理的な配慮が十分であるかを常に注視しなければなりません。勉強会の場で用いていたずらに不安を喚起してしまうような検査類は相応しいとは思えません。

作業能率

次に、質問紙を使わないけれども、という場合には簡単な計算を活用する方法があります。

小学生の計算ドリルにでもあるような、足し算引き算などで、何問解けたかをリラクセーション前後で比較するのです。(これを微分・積分などとしてはいけません。)

一般に、集中力に影響すると言われています。つまり、結果として、間違いが少なく多くの問題を処理できる可能性があります。

たくさん残業しても能率が上がらないのは、このことと関連させて考えれば納得の行くところです。

問題数をたくさん準備しておかなければいけません。そして、3分以内で解けるところまで、といように回答を求めるやり方になります。3分という時間が妥当かどうかは検討の余地があります。3分で前後の差を確認できるのか、また長すぎればせっかくリラックスした人も最後の計算で疲れたというイメージを持ちこしてご帰宅いただくことになってしまうのです。

脈を比較してみる

また、時々採用されるのは「脈拍」です。正確な脈を取れているかどうかこれは難しい所ですが、リラクセーション前後では脈拍の変化を捉えることがあります。

この方法は、先にも触れましたが私はナースや専門家向きだと思います。一般の方向けではあまりないかもしれません。医療者同士の勉強会であれば導入しやすいでしょう。

一般にはリラックス時には、脈拍は穏やかになるわけですから、脈拍は少し緩やかになる可能性があります。

しかしこれは、単に勉強会会場まで来る間に走ったり、電車の中で立ち続けていたときに上昇した脈拍が、2時間後の勉強会終了間際になって落ち着いていた状態を捉えたに過ぎないのかもしれません。

しかし、その場合でも何かさきほどまでとは違うという実感にはなるかもしれません。

参考サイト:荒川区

今できる、健康づくり

体験を捉える

今回は、数値化という話でしたのでこれは番外編ですが。数値では捉えきれていないことが数多くあるように思います。どのような体験をなさったのかに注目したいところです。

数値化すると言う事であれば、体験内容をカテゴリー化してカウントするなどがあるでしょう。

  • 軽い:150記述
  • 温かい:40記述
  • xxxxxx    という具合にです。

この場合には、動作法、自律訓練法、あるいはフォーカシングの研究を参考にすることもできます。キーワードは成瀬先生の体験治療論です。

まとめ

今回は調査・研究的な話題でしたが、カウンセリングの場では「数値化」のようなことはあまりしません。

確かにソリューション・フォーカスト・アプローチのSUDのように、今の苦痛度をスケーリングする方法もあるのですが、最後に示した「体験」の方こそに注目しています。

点数で表現してもらうのも一つですが、「~な感じ」というそのままを教えてもらうことに重きを置いています。