最終更新日 2025年3月11日
10年程前からだったでしょうか、徐々にコーチングという言葉を耳にする機会が増えています。
20年前の段階では、おそらく一度も聞いたことはなかったと思います。
ある時には、一度勉強しておくと良いですよと大ベテランが言っていたこともありました。
カウンセリングとの違いと言う観点から概観します。
コーチングとは?カウンセリングとの違いから概観
まずコーチングとカウンセリングは、混同されることがあります。
特に日常で触れた機会がない時には尚更両者の違いはよくわからないものとして映ると思います。
コーチングを熟知しているわけではありませんが、なるべくわかりやすく区分け出来たら有益なことでしょう。
カウンセリングの定義が一定でないように、おそらくコーチングも近い所があるのではないでしょうか。
ここで納得のいく定義ができるはずはありませんので、あくまで外観とお考えいただければと思います。
コーチングとは
「コーチ」という言葉は、日本ではスポーツの分野で日常用語として使われます。
バレーや野球をドラマでも見れば必ずコーチが登場するものです。
するとコーチングも、スポーツ界隈の用語なのでしょうか。私の調べでは、語源は馬車でした。
次に示すのは、国際コーチ連盟日本支部HP内の定義です。
コーチングとは、思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築くことです。
対話を重ね、クライアントに柔軟な思考と行動を促し、ゴールに向けて支援するコーチとクライアントとのパートナーシップを意味します。
引用元:国際コーチ連盟日本支部 コーチングについて(連盟の発足は1995年)
コーチングとはパートナシップであることが明記されています。
企業にも導入が進んでいます。
どのような方法で行うのか
対話を通すとありますが、どのような形になるのでしょう。
YouTubeには実演動画がいくつも投稿されていました。
それらを拝見すると、何かのテーマについて話し合うセッションという具合でした。
何かをコーチが教えているという風には見えません。これがティーチではないという由縁なのでしょう。
コーチが、様々な特徴的な質問を繰り返す中で、クライエント側が自らの考えを言葉にしていきました。
何が起きるのか
これについても、国際コーチ連盟に記述があります。
それによると、下記のように説明されていました。
困難に対する新しい視点、決断力の向上、更に効果的なコミュニケーションスキルや自信の向上です。そして、リストはここで終わりません。コーチングを受けることで、あなたは生産性の向上、人生やキャリアに対する満足度の上昇、目標の達成を期待することができます。
カウンセリングとは
これは、このブログ内で何度も言葉を変えて触れていますので、簡単な定義に留めます。そもそも、カウンセリングという表現が、その時々心理療法と区別されたりされなかったりで用いられています。より複雑な話になってしまいますので別項で補完してください。
現代社会においては、概ね臨床心理士、ないしは公認心理師の資格を持つ者が心理的な苦悩・苦痛の軽減を目指して行う行為です。対話を通して行われます。
- 関連ページ:カウンセリングにはたくさんの種類がある
両者の違いについて
見た目はほとんど同じになることもあるでしょう。お互いに傾聴する姿の写真が説明に使われています。
そしてセッションはを行うところも、お互い似ています。その手法についても、ロジャーズのカウンセリングに似通っているとは感じませんでしたが、別な心理療法であればかなり近い展開となるものがありそうだと感じました。
例えばそれは認知行動療法でアジェンダを設けるところと似ているように見えたわけです。
これが結論と言う事は言えませんが、世間的にはこの辺なのだろうかという点、あるいは臨床心理士として感じた相違点を挙げておきます。厳密に比較するのであれば、ロジャーズのカウンセリングと国際コーチ連盟のコーチングの違いという風に定義をして進めなければならないでしょう。ここではそこまでのことはできません。
- セッションでの対話を通して進めるところは共通だが、その進め方に違いがある。
- コーチングでは概ねこれからのこと、未来に重心があるように見える。(カウンセリングも未来を扱わないわけではないし、ソリューションフォーカストアプローチなども踏まえると益々一概に言えない。)
- どうやらコーチングは経済界向けに重心があるように感じられる。カウンセリングはそういうわけではない。
- 料金面はコーチングの方が高い設定が見受けられた。1万円から3万円が相場とされている。
- コーチングの歴史をたどると、語源は1500年代までさかのぼります。そこで馬車の話が登場します。馬車でその人が望んでいる所まで送り届けるということなのです。これはほとんどカウンセリングと共通しているような表現です。(関連:この馬車の話はミルトン・エリクソンのあるエピソードを思い出させます)
- 目標を定めるかどうかは、カウンセリングにおいては議論があり、一様ではない。コーチングでは目標達成が主題のようにも見受けられる場面があった。
- 対象の違いはうまれると思います。
まとめ
さて、概観してみましたが、やはりピンとこないという方も多いと思います。
実を言えば、コーチングの解説を様々目を通しましたが、これはカウンセリングに関する解説ではないか?と感じることもありました。
そして、カウンセリングではこうだが、コーチングではこうであるとの説明にしても、それもカウンセリングに含まれると見えることがありました。
これを論じるには、コーチングとカウンセリングを熟知していなければならないことを痛感させられます。カウンセリングを20年近く学び・実践してきた立場からすると、いまだにその輪郭をとらえきれないことがあるものです。
簡単に述べられることではありません。このブログでは様々な角度からカウンセリングに触れています。もっと知りたいという方は他のページもご参照下さい。