最終更新日 2024年3月13日
心理援助の方法として心理カウンセリングは行われます。その方法は多様で一つの形ではありません。簡単にではありますが、カウンセリング・心理援助の方法や考えについて幅広い観点からまとめています。
カウンセリングの方法は数多く存在する
・来談者中心療法 ・箱庭療法 ・ 芸術療法(絵画・音楽など) ・精神分析的心理療法 ・夢分析 ・催眠療法 ・遊戯療法(プレイセラピー)・イメージ療法 ・解決志向アプローチ・行動療法 ・認知行動療法 ・EMDR ・交流分析・臨床動作法 ・森田療法 ・内観療法 ・総合的アプローチ ・家族療法 ・集団療法 など
※参考サイト:(日本臨床心理士会のホームページでもより全般的な形で諸技法を紹介しています。
セッション体験重視か宿題を出す
これには異論反論あると思いますが概ね、カウンセリングの方法はこの二つに分類できないでしょうか。つまり、セッション体験重視か、生活上の体験重視かです。
フォーカシング
フォーカシングは、ユージン・ジェンドリンによります。「体験過程」というカウンセリングの中核概念が凝縮されています。
箱庭療法
スイスのユング研究所から帰国した河合隼雄が日本で幅広く活動しました。元々は、サンドプレイと呼ばれる方法ですが、日本の「箱庭」だなと理解した河合先生の独創性が日本風に名前を変えました。
言葉をあまり介さずとも成立する方法のため、馴染みやすい方もあるでしょう。
内観療法
日本オリジナルの心理療法の一つに数えられます。吉本伊信の考案です。浄土真宗の「身調べ」という修行法から着想しています。応接間のような場でソファに座って行われるカウンセリングとはまるで違う光景になります。
臨床動作法
臨床動作法:成瀬悟策氏によって創始された方法です。こちらも日本オリジナルです。単にリラクセーションということではなく、体験様式に注目します。スポーツ領域にまで展開しています。
精神分析
フロイトによって創始された方法。多くの日本人が抱くカウンセリングイメージの一つとして挙げられると思います。フロイトは催眠を学んでいたこともあります。
交流分析
精神分析の口語版と言われることがある。エリックバーンによって創始された。
認知行動療法
認知の仕方に注目する方法と考えています。日本では、この15年程の間に大きく広がっています。
EMDR
日本でも学会が創設されました。眼球運動に注目する方法で、行動療法や精神分析からは想像しにくい方法です。日本にも20世後半に紹介され、現在かなり制度化されました。
漸進的筋弛緩法
エドモンド・ジェイコブソンによるメソッドです。足から顔まで自分でリラクセーションを行います。
森田療法
こちらも日本オリジナルの方法として数えられます。精神科医、森田正馬(1874~1938によって創始されました。
システムズ・アプローチ
家族療法の一種です。全体を一つのシステムとして捉えアプローチする方法です。
自律訓練法
自律訓練法はドイツのシュルツ博士考案です。公式を練習する形で展開しますが、臨床動作法同様に、「体験」を扱うとする立場もあります。カウンセリングの中で用いられる際には、椅子に座って実施する形式が多くなると思われます。
ソリューション・フォーカスト・アプローチ
ソリューション・フォーカスト・アプローチでは、解決に向けた質問を繰り返すなどのやり取りが、解決につながることもあります。未来へ焦点を当てた発想です。
とかく原因モードになりがちですが、このアプローチでは「すでにうまく行っていること」にも焦点化します。
ナラティブアプローチ
社会構成主義の背景をもつナラティブ・アプローチです。現実は構成されるという発想をします。例えば・・・本当に過去の浪人生活は無駄な時間だったのか?もしかしたら意味のある事だったのかもしれない・・・と新たな物語が展開することもあります。
催眠療法
日本では成瀬悟策氏が、世界的にはミルトン・エリクソンが著名です。催眠といえば、テレビで時々見かけるような、「ショー催眠」を思い浮かべられるかと思います。
しかしながら、心理援助に用いる催眠は、学術団体も作られ、倫理観をもって運営されています。
来談者中心アプローチ
お話になられることを傾聴していく中で、考えが整理されたり、新たな視点にお気づきになるなどのことが起き、そうしたことが問題の解決につながることがあります。カール・ロジャーズもご参照下さい。受容・共感・自己一致などという言葉は良く知られるようになりました。
戦後、日本のカウンセリングは大きくロジャーズの影響を受けました。
プレイセラピー
プレイセラピーは子供を対象とする面接でよくとられる形式のセラピーです。子供の場合は、成人のように言葉を介したカウンセリングではなかなか馴染まないことがあります。年齢によっては不可能に近い事もあり、そこで「遊び」を介した心理援助の手段が考案されているのです。
プレイセラピーの設備がある相談室は限られます。大学院付属の相談センターなどが挙げられます。
臨床心理学を背景に持ち、技法単体で用いられるとは限らない
臨床心理学という学問を背景にもって、来談者中心アプローチや、ソリューション・フォーカスト・アプローチなどを学んでいるわけですが、「このご相談内容」には「このアプローチが良い」という発想だけでは、なかなか馴染みにくいと考えています。
方法と書きましたが、独立して技法のようにそれを用いるとは限らず、またカウンセリングは手順通りに進められるものではなく、カウンセラーは様々な視点を抱きつつ、総合して、目の前で語られることをお伺いしていきます。(当オフィスではそのような態度を持っています)
カウンセリングで用いられる「アプローチの違い」については、一般の方には特に馴染みのない言葉ばかりで難しい問題です。
幾つかの観点をご紹介します。
たってのご希望があるのなら、そこを入り口にしてみるのも一つ
〇〇療法を受けてみたい!と明確なご希望がある人は、そこを入り口としても良いかもしれません。
しかしながら、もう一つには、カウンセラー側がどう受け入れているかという問題があります。
公に、「〇〇療法を希望する」というご希望には応じておりませんと謳っている人もいます。
そうでなくとも、「援助手段として妥当であるかを検討の上、開始いたします」などとされていることがほとんどです。
全ての経験の蓄積を総動員してカウンセリングに臨むが、合わせて9段ではない
これは、妥当な説明の仕方かどうかはわかりませんが、似たような話のようにも思います。
例えば、武道の世界には、空手・柔道・合気道・剣道などがあり、それぞれに段位が設けられています。
剣道8段といえば700数十名程度と聞きます。そしてその審査は非常に難しいのです。
一方、柔道2段、空手2段、合気道初段、剣道2段、将棋と囲碁を合わせて9段!などという皮肉を聞くことがあります。(そうであってはならないという意味で)
これは、どれも中途半端で本質的な学びを得た事とは違う事を言いたい皮肉なのだと思います。
これはカウンセラーにおいても当てはまる話ではないでしょうか。
まとめと疑問
このように、カウンセラーは、言語以外の援助手段を学んでいることがあります。 では、言語によるカウンセリングと、体へのアプローチによるものとでは、何か違いがでるのでしょうか?
別項でも述べたかもしれませんが、本質的には同じものであると考えれば、違いは少ないでしょう。通常のカウンセリングと同様、時間を決めたり、ある一定の枠組みの中で行うという原則は変わりません。
しかし、方法は全く異なりますので、見た目や毎回のセッションの様子は違うと言えるでしょう。 あまり単純化はできませんが、言語向きの相談もあれば、体へのアプローチ向きの相談もあると言っていいと思います。
どの援助手段を採用するかは、よく相談してお決めいただくことは大事だと考えています。 また、どのちらの援助手段を用いるにしても、体への注目は、抜きにできないのではないでしょうか。言語面接においても、「腑に落ちる」などという表現が象徴するように、体レベルでの変化が起きていると言えないでしょうか。
これらの方法に関しては、学会が存在するほどです。下記ページのリンク先を辿れば、より多くの情報に辿りつけるでしょう。