最終更新日 2023年11月14日
物事は特にうまく進まなかったり、滞っていたりすることがあります。人間の生活は多様ですから、普段の生活の中でそのようなことが起きたとしても不思議ではありません。そのような時に我々はあれこれ試してみたり、考えながら物事と取り組んだり、解決したり、時に放っておいたりしているわけです。
何らかの問題と対峙したとき、カウンセリングにおいては、どのような発想を持つのでしょう。
解決志向アプローチの見方や発想もカウンセリングにおいて時に注目されます。
まず初めに、原因を特定するという発想があります(因果論)。原因を明らかにすれば、その対処法も考えやすく、合理的に対処可能となるわけです。
そして、非常に一般的に使われる思考であり、実際的な方法です。現代文明は問題志向によるところがかなり多いわけです。
例えば、パソコンが動かなくなってしまった場合、電源の問題なのか、システムの問題なのかが特定できないでいると、無用な事に時間やエネルギーを消費することに繋がりかねません。ですから、電源の問題かシステムの問題であるかを確認することから始まるでしょう。
そして、仮に電源が老朽化し、コンセントの交換が必要ということになれば、それは直ぐにメーカーや販売店に問い合わせるなどして解決できます。(もっとも、生産終了などということもありますが)
ソリューション・フォーカスト・アプローチ
こういった思考方式は実生活を送る上で非常に有用であることには違いないでしょう。
実際、最近よく聞くPDCAサイクルなどは、問題志向に基づく発想でしょう。あの発想は、医療安全の分野などに用いられ、事故を防止するシステムとしても採用されています。
針刺し事故を防ぐために、事故の発生状況を把握し、事故の発生しない注射の取り扱い方法を考案するなどがその例となります。
一方、世の中には原因がどうしてもわからなかったり、わかったところで解決策が見いだせないことがあることも事実です。このようなとき、解決志向という発想も有用な場合があります。
解決志向の特徴
解決志向では、簡単に述べれば、どうやったらうまくいくかという点に注目する発想を持ちます。
問題志向では、まず原因を明らかにすることに意識を向けますが、そこには触れず、解決に役立ちそうなことは何かという点に注目します。
つまり、これがソリューションフォーカストアプローチと言われる所以となるわけです。ソリューション(解決)の方に焦点を合わせていくのです。
また、解決志向アプローチはかなりシンプルな発想であることも特徴の一つと言えるでしょう。大きく分けて三つのことを念頭に置いた発想の繰り返しになるのです。
そうした発想のもとに話を進めて行くと、解決案が浮かび上がってくるようなことがあるわけです。こういう話し合いのようなことをソリューショントークと呼んでいいのではないかと感じます。
何が原因だったのかではなく、どんな力を使ったのかを明らかにする
リソースという言葉は、「資源」というようなニュアンスです。既にその人がもっている力、能力があると考え、それが解決に役立つものになるという発想を持ちます。
例えば、先にあげたパソコンの例であっても、解決志向の発想から解決することが可能であったかもしれません。社内でパソコンを数台使っていたならば、似たような状況が過去に発生していたかもしれません。
そこで、社員には、「パソコンを復旧したとき、どうやったのですか?」と聞いてみるという手が思いつきます。
「何が原因だったのですか?」とは聞いていません。
そうすると、ある社員は、「とりあえず古いパソコンの電源を借りてみたらすぐに動いたんですよ。5分くらいで解決しました。」などと言う社員が出てくる可能性すらあるわけです。
これを聞いたとき、「ではとりあえず試してみよう」ということで電源を取り換えてみたらさっそくパソコンが動き出した、などという結果が導かれることもなくはないのではないでしょうか。
この場合、原因を特定しようと躍起になっていた時と比較してかなり効率的で、省エネです。(原因を特定することを否定するものではありません。)
このようにして問題が解決されたとき、それは社員の今までの経験というリソースが生かされたことに繋がると思います。それは既に存在したものであり、付加されたものではないのです。