日々を生きる中には本当にいろいろなことがあるものです。
台風が去ったら、猛暑が訪れるように、次から次にという経験をすることもあれば、なぜこんなことを経験しなければならないのかと怒りを覚えるほど理不尽な経験をされる方もあると思います。
ライフイベントとカウンセリング
カウンセリングを学ぼうとしたときに、人が生まれてから、歳を重ねていく過程を勉強したりもしました。発達心理学という分野のことになります。
実際のカウンセリングの中で、学んできた理論をそのまま用いるということは難しいのですが、発想としてどこかカウンセラーの中に置いてあるのです。
例えば、人は生まれてからどんな心理的課題が待っているのだろうか?と漠然と考えたとき、実は、先人達が論文や本にまとめたものが多数存在します。
それもかなり以前からそのような探求がなされているのです。エリクソンという人やハヴィガースト、レビンソンなどの人物が知られています。
実は大人も日々安泰ではない
子供からしてみると、大人達はどのように過ごしているように映るのでしょう。とても安定していて、悩み事などないように見えるものでしょうか。
また、大人と一言で言っても、青年、中年、高齢者などの区切り方によっては、感じることが変わっているかもしれません。
高齢のご夫婦を見ていて、自分もあのくらいの年齢になったら毎日只々穏やかに時間が過ぎていくんだろうなぁ・・、・とお考えになった方もいらっしゃるでしょう。
年代によってはクローズアップされてくる物事が少しずつ異なってくるものであるかもしれません。
例えば、青年期、中年期と仕事に一所懸命だった方が、お仕事を引退され、さらに歳を重ねた時には、かつてに感じていた迷いや悩みとはまた別なものと遭遇することもあるやもしれません。
何かこうして書いていると、悩みや迷いがとてもネガティブで避けたいもののように感じられてきますが、ある意味では新しい迷いや悩みに遭遇したときには、新しい生き方を展開していく可能性が秘められているとも感じます。
ホームズとレイの知見
また、生涯発達心理学とは別に、ストレスの観点からホームズとレイの研究がよく知られています。
結婚や借金、旅行、昇進などのライフイベントを一覧にまとめ、それらに得点が割り当てらている表なのです。
勝手に引用はできませんが、「ライフイベント表」を見ると、あれもそうなのかと驚く方もあるでしょう。
自治体の運営サイトに原著(Holmes&Rahe:J Psychosom Res,1967;11:213-8)を示した詳しい解説がありましたのでリンクを貼っておきます。
ライフイベント
簡単にではありますが、就職くらいから主要なライフイベントを概観してみます。
就職
はじめて働くという経験は、ライフイベントと言えます。アルバイトをやっていた人はどうなのか?などと、すぐに突っ込みたくなるところですが、概ね多くの場合という話です。
働くことに困難を覚えることもあるでしょう。とりわけはじめの数年は他のことには手が回らないかもしれません。
セットで引っ越しを経験する方もあるものです。
また、10年、20年以上も働くと、今度は「昇進」などという次のライフイベントも待っています。
- 関連ページ:仕事の悩みに関するカウンセリング
結婚
どこかの銀行のライフコースのようで気が引けますが、結婚も大きなライフイベントです。
生活様式自体が一変するかもしれません。やはりここでも同時に引っ越しする人もあるでしょう。
一度結婚すると、ずっとその関係は同じままかというと決してそんなことはありません。新たな家族が増えることもあれば、別れを経験することもあり、また夫婦関係そのものも刻々と変化するものです。
関連ページ:引っ越しでうつ病?
介護関係
核家族化に超高齢化社会と連日報道されています。この社会においては、介護がどのような意味合いを持つのかもかつてとは変化しています。いったいどのような選択をするのか、それも個々人で決断を迫られる場面もあるようです。
- 関連テーマ:介護疲れ
死(離)別
長く生きていれば、必ずと言えるほど誰かの死に直面することになります。それが生きていくことであるとわかってはいても、です。
その他
その他としてまとめるには困難なほど多くのライフイベントがあります。
事故や災害も、残念ながら毎日、毎年のように起きています。
人生の節目にカウンセリングが意味をなすこともある
このようなライフイベントを経験するとき、それは人生の節目ということであるかもしれません。
このようなタイミングで行われるカウンセリングは、それらを振り返る時間としたり、気持ちの整理を行うこともあります。
また、大きな出来事に直面した際には、この先の人生の方向性に迷い覚えるという方もあるでしょうか。前向きに言い換えれば、どのような40代、50代を望(臨)んでいかれるかという気持ちの確認という意味合いもあるかと思います。
場合によっては、それまでスポットライトを当てることができなかった面が、改めてクローズアップなどということもあるかもしれません。
関連ページ:私にはもう一つの人生があった?浮かび上がる「影」
圧倒されるようなライフイベントを前に、カウンセラーの役目とはいったい何なのか、これは常に自問自答せねばならない課題ではあります。
その体験に「添う」という言葉でそれは説明されることもあります。
関連ページ:カウンセリングは喪失を聴く事と例えられることがある
まとめ
人生には本当にいろいろなことがある模様です。
模様と書いたのは、何十年も生きていろいろと経験はしたけれども、これからもまだ何かありそうだ・・・と予感があるためです。
身近な生活の変化だけを考えても、ポケベルもなくなり、固定電話もほとんど使わない人が増えています。皆携帯電話に変わっています。それもせいぜい10年程度の変化なのです。
そう考えると確かに、50年も同じスタイルだけで通そうとするのは困難なことなのかもしれません。


