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心理臨床オフィスまつだ

答えると応える

応えるとは カウンセラーの態度

最終更新日 2023年8月22日

日本語には、同じ読み方であっても別な漢字を用いることがあります。

例えば、カウンセリングを勉強していく中で、「答える」と「応える」を意識するようになりました。英語で表現すれば、「answer」と「respond」の違いと言うことになるでしょうか。

なぜ英語が登場するのか、不自然なようでもありますが、そもそもカウンセリングは、アメリカではじまっているので、英語の表現をじっくり検討してみることも意味があるのだと思います。

さて、日本ではどちらも「こたえる」と読むわけですが、意味するところは別になります。漢字にどこか生きた感触を覚えるのはこういう言葉を改めて考えてみたときなのかもしれません。この点は、カウンセリングにおけるアドバイスに関する考え方にも関係してくることが含まれます。

答えると応えるの違い

回答する

「答える」は、「回答する」というニュアンスを強めに感じます。コミュニケーションの中で必要なことだと思います。

本日の天候や、気温を尋ねられた場合は、「26℃位です」とか「答える」わけです。

「応える」は、「応答する」というニュアンスになるでしょうか。(もっとしっくりくる熟語があるのかもしれません。)

上述の気温の例を使用してみますと、「今日は何度あるのでしょう?」(暑くて汗を流しながら尋ねてきたとします)と尋ねられた時、「もうエアコンの効いた部屋に入りたいね」と応える人がいらっしゃるでしょう。

これは、「回答」したわけではなく、「応答」したわけなのです。

温度を尋ねた人が、何を意図して温度を尋ねたのか、真意はわからないわけですが、その場の雰囲気によっては、必ずしも正確な温度の情報という「回答」を求めているとは限らないわけで、上記の例では、暑さを共有するような応答をしたわけです。

何に応えるのか

カウンセリングにおいては、特に「応える」の方が注目されますが、では、何に応えているのでしょう。

それは、その人の「体験」に応えているという説明ができるのではないかと考えています。

体験に応える

コミュニケーションの中で表面に現れている言葉には、それに伴う体験があると考えると、上述した例のように、「今日は何度あるのでしょう?」という語りには、「暑くてたまらない。不快である」という体験を感じます。

ですから、「応える」という行為は、「これでは外の作業は辛いね」などという表現になってくる可能性が持ち上がってきます。

ですが、必ずしもどのような体験のもとに発せられた言葉であるか、とっさに理解できないこともあることでしょう。そのような時は、どのような体験をなさっているのか理解するためにもう少し詳しいことを伺っていかねばなりません。

複雑な人間社会では簡単にはわからないことの方が多いのかもしれません。

質問をしてみたり、聞き返してみたりと、そうしてよりその言葉の意味の理解が深まるわけです。先読みしすぎてしまうと誤解が生じることも時にはあることでしょう。

悩みに応える

さて、カウンセリングを学んでいくと、答える、応えるについて深く考えだすことがあります。

多くの場合、「応える」に力を入れようと考えることになると思います。

しかし、これは言葉にすることは簡単でも、実際にそのように応答できるかは難しい事です。

とにかく一所懸命に向き合う事でしょうか。

わからないながらに一所懸命向き合った様子

真剣に考える

ボブ
ボブ
バーガーショップでね、店員に話しかけてみたのですよ。ですけど、怪訝な顔をされて・・・。あれはなんだったのでしょうね?
キャサリン
キャサリン
そんな目にあったのですか。どういうんでしょうねぇ・・・仕事以外のことで話をしちゃいけないと指導されてるとか・・・うーんそうですね・・・
この場合、ボブの問いかけは、回答を求めているようにも、応答を求めているようにも見えます。そして、キャサリンの反応も、回答のようでもあり応答のようでもあります。 これは応答だと思います。
  • ボブが語った後日談
ボブ
ボブ
キャサリンの言ったことが正解なのかどうなのかわからないままです。それにしっくりきたかと言えばそれもありません。ですが、キャサリンは私の話を真剣に考えていました。家族に尋ねた時とは大違いです。「知らないよ!」の一言でしたから。

これが人間同士の営みというものではないでしょうか。ここに生まれるであろう信頼関係があれば、対話を繰り返し本当に答えにもいつか辿り着けるかもしれません。

まとめ

カウンセリングにおいては、この話題を学校のテストのようにどっちが正解というようなスタンスで捉えるべき話ではありません。

カウンセリングに臨む際には、今のは応答できたかな・・・?などと頭で考えるような余裕はないでしょう。目の前の人とどう向き合えるかということに尽きるのです。