最終更新日 2025年3月10日
2015年に公布された公認心理師法。
あれから早いもので10年近くになります。
2018年には一回目の試験が実施されました。移行期間も終わり、現在では7万名もの登録者がいます。
公認心理師登録者数の推移とまとめ
では、年々の推移や都道県別の状況を図式化していきます。
臨床心理士の人数に比して、既に倍に迫ろうとしている所です。
今の公認心理師登録者数総数は、73,678人です。(2024年12月現在)
今後は概ね所定の大学院修了者の人数分+その他のルートの人数程度毎年増加していくものと考えられます。
その人数とは、即座の推測では概ね2000名程度かと。
毎年、臨床心理士より多くの人が資格を取得すると推測します。
年次推移
- 引用元(上は資料をグラフ・表化したもの):公認心理師の都道府県別登録者数
2024年度 公認心理師試験研修センターより
これがこれまでのところの年次推移です。
2018年に第一回の試験が行われました。実際の登録作業が終了した2019年に有資格者が34170名誕生しました。その後、経過措置が2022年まで続き、2023年から傾向が変わります。
都道府県別の人数
臨床心理士同様、養成校が県内にあるかどうかが今後の人数を左右するポイントになると思われます。
これが都道府県別の人数です。
細かすぎて見えないかもしれません。
さらに、表を付けますのでそちらも合わせてご参照下さい。
引用元:同上
最多数は東京で1.2万人超
どの資格も同じ傾向にあると思いますが、やはり最も多いのは東京都です。関係する大学の数も最多です。
12,327人です。(2024年12月現在)
200名を切る都道県はない
臨床心理士の都道府県分布をみると、200名に届かない県も複数あります。
公認心理師では、最少が267名です。
臨床心理士と両方の資格を保持している人も多いため、単純に上乗せされるものではありませんが、全国的に2倍程度臨床心理士合格者の人数を上回っています。
- こちらのページで比較できます:臨床心理士試験合格者人数の推移
実は私は7万人くらいが第1回試験を受けるだろうと予想していた
第1回の公認心理師試験が迫っていた頃、7万人くらい受験するのではないか!?と想像しました。
様々な意見が渦巻きましたが、移行措置で実務経験者が受験できる期間が設けられていたのです。
臨床心理士がほぼ全員、その外現場で心理的な業務を担っている人多数存在している状況を知っていたためです。臨床心理士は数多くある資格の内の一つでしかありませんし、資格がなくとも心理的な業務に携わっていた方々に敬意をもっていたのです。
産業カウンセラー、電話相談員、学生相談に臨む教員、保健師などの産業保健スタッフ、特別支援教育、看護外来、司法・矯正関係、医師、助産師、福祉関係・・・などなど、これらの方は確かに心理的業務に携わってきたのです。
心理的ケアが臨床心理士だけの行為などと考えているならそれは奢りと指摘されても致し方ありません。
また、心理支援とはカウンセリングに限りません。
- 関連ページ:心理支援とは
初回から7万人が一気に受けることはありませんでしたが、出そろった2022年の結果を見ると、その予想はあながち外れてはいなかったというわけです。
今後の動向が注視されています。
実働者はどのくらいなのかわからないところがある
臨床心理士も近い事は言えますが、資格を取得しても実際には心理職として活動していない人がいます。持ってはいるけれど、別な業務だけに専念している方です。その時には、心理職としてのマインドを持って別業務にあたっているというアイデンティティの方もいることでしょう。
例えば、看護師や教師が、本業を続けながら資格登録した場合、アイデンティティは元の看護師、教師のままだと思います。つまりは、看護にあたる中で公認心理師の知識等を生かすということになるでしょうか。
- 関連ページ:実は看護師もカウンセリングを学んでいることがある
もちろん悪いことなどといっているのではなく意義深い事です。
これらについて参考となる資料も発表されています。
それによると、下記のように記されています。
「心理に関する職種」として雇用され、「心理的支援業務」に従事している職場を有する回答者の割合は全体の 57.5%であった。
これをどう受け止めるでしょう。資格を持っていても、いわゆる心理職ではない雇用形態の人が40%程度を占めていることになります。報告書にその詳細が記されています。
臨床心理士も同じような傾向なのでしょうか。
また全体の回答率が54.4%であるため、実態を反映していない部分もあると捉えた方が良いでしょう。
- 参考・引用元資料:令和5年度公認心理師活動状況等調査 報告書 〔要約版〕
試験に合格したまま登録していない人もいる
試験に合格しただけでは公認心理師を名乗ることはできません。申請をして何より登録料を支払わなければならないのです。
不思議に思われるかもしれませんが、登録を完了していない人も一定数います。
医師の指示の文言がどのように影響するのか、臨床心理士としてのアイデンティティ、引退間際の受験など考えや状況はそれぞれのご事情もあるのだと思います。
年次の合格者数から登録者数を引いてみればそれが概ね未登録者と言う事が出来るでしょう。
まとめ
果たして、公認心理師の登場・増加により「カウンセリング実施件数」がその分増えたかと問われれば、それは微妙なところです。
以前よりは増えているには違いないと考えますが、カウンセリングを中心とする心理師は全体の一部という認識の方が現実には近いのではないかと思います。(これは言いすぎた感が残ります。)
これをどう捉えるかもだいぶまちまちになっている印象を受けています。