エリック・エリクソンは、ドイツのフランクフルトに生まれ、後にアメリカのボストンへ移住し、ハーバード大学やイェーリで教鞭をとった。
アンナ・フロイトに師事して精神分析医の訓練を受けた。
※エリク・ホーンブルガー・エリクソン(Erik Homburger Erikson)1902年~1994年
心理社会的モラトリアムでも知られるエリック・エリクソンは心理学を学びだすと直ぐ出会う
心理学を学び始めると、多くの初学者は、早期にエリクソンの名前を目にすることになる。心理学の概論で出会うこともあれば、発達心理学の中で出会うこともある。
つまり心理学などを学ぶ多くの大学生はエリック・エリクソンの発達理論に関するレポートを書いていることだろう。
エリクソンは、人間の発達を8段階に分けて考え、そして各段階には発達課題とがあるとした。
第一段階では、「信頼対不信」、第二段階、「自律性対恥・疑惑」、第3段階では自発性対罪悪感」というように8段階を整理した。
そして、第五段階に、自我同一性の概念も用いられている。
この時期のは「アイデンティティ対アイデンティティ拡散」とされている。このようにエリクソンの人格発達理論では対立した概念を8段階でそれぞれ設定した。
自我同一性とは、自分自身が何者であるかという感覚であり、青年期の重要な課題としている。この課題がうまく達成されないときにアイデンティティクライシスを迎えることになるとされる。
- 因みに同じ名前の心理療法家がいますが別人です:ミルトン・エリクソン
心理社会的モラトリアム
元々は経済学の用語だが、エリクソンは青年期の特性をこの言葉を用いて説明した。
経済学では、支払い猶予期間を意味するが、青年期も社会からの責任を猶予されている時期とも見ることができる。
現代社会において、この年齢幅はかつてより拡大されているのだろうか。
或いはかつてより、限定的な時期としてとらえられていたとしても不思議ではない。
ゆとり教育も覆された今、社会の動向がやはり大卒と共に直ちに働き出すという観念がより固定されているように感じるところである。
なんとなく就職していくというモデルを年々聞かなくなっているように感じるが、実際のところはいかがなものだろうか。
エリック・エリクソンも若いころは放浪していたという。大学には進学せず、美術の方面へ進んだという。
放浪の時間が現代社会にどこくらいあるのか、10年くらいさまよいたい人もいるのではなかろうか。
人間五十年だった戦国時代や江戸時代から時は流れ、令和においては80年、100年ともいわれる人生へと伸びてきている。
15歳で元服だったわけです。孔子はずっと以前に、40にして我惑わずなどと言っていた。
これらの数値は現代版に変更されねばならない面もある。30歳までさ迷ったとして65歳定年なら元服から人間50年までの期間に等しい。
公的機関が、昨今の若者の定義をするとき、40代も含めているものである。
この点においては非常に現代的である。かつてなら完全に中高年のくくりとされていた。
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青年期あたりまでは詳しいと言われる
エリクソンの理論は青年期辺りまでは詳述されるが、それ以降についてはさらなる検討が必要との見解を示されることが多い。
これは超高齢化社会といわれる現代社会においても意義深い点である。もちろんエリクソンも青年期以降の発達を示していないわけではないし、老年期の課題もしっかり触れている。
エリクソンがどのようなライフサイクル観をもっていたか知るところではないが、昨今の方向性としては、生涯発達の観点が重要である。これは多くの心理学者が注目することとなっているが、つまりは、人生の後半は単に衰退という時期ではないことがあちこちで主張され続けている。
実際のカウンセリングにおいても、この視点は有意義であるし、カール・ユングのような学者に限らずとも元々、人々は有意義であることを知っていたのだと思う。一斉には、ご高齢の方には図書館1つ分の知恵が詰まっているというが、これは決して大げさな表現ではないだろう。
まとめ
カウンセリングを実施する際、エリック・エリクソンの理論を常に意識しながら進めているかというとそうではありません。また、その理論に基づいて進めることもありません。
理論を中心に据えて進めるというカウンセラーもいるのだとは思いますが、とりわけ当オフィスのカウンセリングはそれぞれの個別性の方こそを重視しています。
もしかするとエリクソンこそ、この個別性を重視していたのかもしれません。
それは自らのアイデンティティと向き合う中で、改名したことが象徴しているようであります。自分はエリックの息子だと、エリック・エリクソンに改名したというのです。
エリクソンの人生を知っていれば、むしろそのこと自体の方が話題にふさわしいように思います。
こんな人がいた・・・とカウンセラー、CLの間で眺めるように対話を交わせば、何かの参考になり、自分の場合は・・・という展開を示すこともあるかもしれません。
このように書くと、何も理論的な勉強していないのではないかと信用を失いかねないという危惧もありますが、確かに心理学を学んできました。ですが、やはりエリクソンについて詳しいわけではないのが面目ないところです。
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