最終更新日 2024年12月23日
料金に関する考え方は様々あります。1万円程度の費用を要する場合から、3千円程度、無料など、それぞれの機関の考えで料金は設定されています。
概ね、経費や収益、専門性との兼ね合いで説明されていることが多いのですが、臨床的にも料金設定は意味のあることと捉えております。
それにしてもなぜ、これほどに高く設定されているのでしょう。
※「相場」という表現はビジネス的に聞こえてしまいますが、日常用語としてはわかりやすいと思いますので、堪え忍んでこのままの表現を用いています。
カウンセリング料金の相場
自治体などもカウンセリングを利用できる環境を整えているため、今後、無料カウンセリングは増えて行くと思います。
これは、望ましいことだと思います。多くの人が利用できる環境が整うわけです。
その上で、カウンセリングにおける料金について改めて触れてみたいと思います。
ある人:「 やっぱりお高いですね・・・。保険が効かないからなんでしょうか?」
・カウンセラー:<それも大きいとは思います。病院で医師の診察代金を払う時、それは実際の料金の3割です。1万円の所が3000円を意味します。もしこれがそのままカウンセリングに適用されたら、一回あたり3000円くらいになるでしょう。しかし、料金については考え出すともっと色々な意味が含まれています。>
本題に入る前に、実際どのくらいのカウンセリング料金が設定されているのかを、まとめました。
機関により大きく異なるとお考えいただくと良いと思います。
私設開業は、やはり高い設定になってる
全国に点在するカウンセリングルームでは、10000円位が多いように見受けられますが、カウンセラーの考え方によりまちまちのようです。初回のみ無料とする場所も多く見受けられます。また割引などを採用している機関もあります。
心理臨床オフィスまつだの場合は、初回11000円です。
- 参考に当オフィスのHPです:予約・料金等のご案内
東京都内の料金相場調査結果
東京都内カウンセリングルームの料金を独自にランダムに調査した結果があります。
ランダムに抽出した10カ所の料金を調べました。
まず調べた方法や対象ですが、23区内のカウンセリングルームをランダムにホームページから確認しました。
- その際、臨床心理士の資格を有していることを条件としました。
- 料金は、一人の場合の初回で統一しました。
- 大学院附属や精神科クリニック附属などの機関も除外しました。
調査結果一覧
- 8,000円
- 5,000円
- 10,000円
- 15,000円
- 9,000円
- 12,500円
- 8,000円
- 12,000円
- 5,000円
- 12,000円
以上が、ランダムに検索結果の料金一覧です。平均すると、9,650円です。幅は、5000円~15000円です。
初回と2回目以降で料金や時間が異なる機関も散見されました。
- 参考サイト:心理相談機関利用ガイド 臨床心理士にはどんなところで出会えるのでしょうか? 日本臨床心理士会HP内
この結果をどう捉えるか
概ね、予想していた結果と言えるかとは思います。つまり高い料金設定でした。心理相談機関利用ガイドの結果とも概ね一致します。
最も安価な5000円で週1回利用すると2万円です。これは子供を塾に通わせるくらいの金額と言えます。
この位が日本人にとっては、許容限度ではないでしょうか。カウンセリングは医療行為ではありませんが、他の事情でどこかの内科クリニックなどを受診すると2000~3000円程度の医療費を負担します。これは保険が適用されているためです。
この感覚が日本人の馴染みのある所ですが、患者負担額10000円を超える医療費はあまりお目にかかりません。時々、レントゲンや採血などで負担額が増える場合でも8000円くらいではないかと思います。
気軽に10000円のカウンセリングという気持ちにはなりにくい設定と言えるでしょう。
10カ所のみのランダム検索というごく簡易な調査とも言えないような結果ですので、何の意味もないデータとなってしまうかもしれませんが、何気なく調べた場合このような料金が目に入るという、ある意味ではリアリティのあるデータです。
千葉・埼玉・神奈川県内の場合はどうなっているかを調査
同様に千葉・埼玉・神奈川県内の場合は都内と差があるのかを検討するため、後日調査しました。千葉県内だけでは極端に数が少なくなったため、埼玉・神奈川県を含めています。
条件は同一です。
- 6,000円
- 6,000円
- 11,000円
- 10,000円
- 9,000円
- 8,000円
- 9,000円
- 10,000円
- 6,000円
- 7,000円
都内程、リサーチは容易ではありませんでした。また臨床心理士以外の開業が目立ちました。
結果はどのようにお感じになられるでしょうか。
平均は、8,200円です。
都内から離れると少し安くなるのは確かでしょう。これはカウンセリングに限ったことではなく物価全体に言えることです。
比較的安価、無料の設定
大学院附属のカウンセリングセンターのような機関は、2000円~5000円程度でした。参考までに、東京大学大学院教育学研究科附属心理教育相談室の料金はこちらです。
また、自治体などが設置する窓口の場合は当然無料となります。
保険が効くカウンセリング
病院においてカウンセリングが行われています。令和2年度の保険診療改定により、公認心理師によるカウンセリングが一部認められることになりました。(「小児特定疾患カウンセリング料」)この場合、一回20分、200点、つまり2000円です。患者負担額は3割、2割、1割などとなるわけですから、2割なら400円ですか?誤解があるといけませんので、よくお調べください。
令和6年度の診療報酬改定でも動きがあった
国家資格である公認心理師の存在は、法律に組み込まれています。改定の度に、なんらかの動きが徐々に増えてゆくのでしょう。
とはいえども、それは数ヵ月単位の話ではなく、数年に1回という進度です。
現在この資料を読み込んでいます。
―令和6年度診療報酬改定― 2024 年 4 月 一般社団法人日本公認心理師協会 保健医療分野委員会
臨床心理士の専門性や諸経費との関係からの設定
これは、あまり重視しておりませんが、見方によっては臨床心理士のカウンセリング1回は1万円程度が妥当とする考えがあります。これはこの後に述べる本質的な事とは別な次元の話です。
臨床心理士は修士課程修了をベースとした、専門職です。このような職種は決して多くはなく、医師や薬剤師も6年生ではありますが、修士課程ではありません。
弁護士の相談料が、30分5000円という表記をよく見かけますから、それと同程度の料金設定になります。

賃貸で相談室を構えるような場合、1日にお会いできる人数や諸経費を考えると、このような料金設定になってしまいます。精神科医は、一日で数十人の診察を行いますが、カウンセラーは、8名程度でもギリギリのラインに迫ります。
よく誤解されがちな事ですが、1万円に料金設定した場合でも、決して大きな利益を上げるような結果にはなりません。
万が一、利益優先のようになってしまったら、もはやカウンセリングは機能しなくなるのではないでしょうか。
高すぎて利用できない場合に検討余地のある事
カウンセリング料金が高額であることは、多くの人が思うところだと思います。
ここでは、他の方法でカウンセリングを受けることができないかを検討しました。
特殊な料金の枠組みを活用できることがある
例えば、現在コロナウイルスの影響が社会的に大きい広がっています。すると、我々心理臨床家として、何か社会に役立ててもらえることはないだろうかと、考えることがあります。日本臨床心理士会は、電話相談を開設しました。
従来の枠組みではご利用いただきにくいとすれば、それは期間限定なり、回数を決めるなりでご提供できることはあるわけです。
例えは適切ではないかもしれませんが、お寿司屋さんがランチをやっていると、普段は行けなくとも、ランチ価格であれば出て行けるものです。
しかもそれは、余り物だったり、手を抜いたものではありません。
協賛店になっているカウンセリングルームを探す
カウンセリングルームを1つの事業所と考えた時、商工会に所属しているかもしれませんし、何か他の団体に加入していることがあります。
その場合、その団体全体として何かに力を入れて、それに協賛する事業所を募集することがあります。その他、都道府県単位や国の施策が背景にあるものです。
その協賛店にカウンセリングルームが挙げられることがあります。
「カウンセリングルーム 協賛店」などと検索すれば何かが見つかるかもしれません。
初回のみ何%かの割引きとする機関や、毎回の割引きなど多種多様です。
子育て応援企画
当オフィスも、千葉県のチーパスへの協賛を行い、独自の枠組みを検討しています。これは全国的に名称を変えて実施されています。
- 参考サイト:子育て家庭優待カード「チーパス」って何?
- 埼玉県の場合:パパ・ママ応援ショップ(子育て家庭への優待制度)
東京結婚応援支援事業
TOKYOふたり結婚応援パスポートも協賛店を募集しています。
少子高齢化社会との関連施策
少子高齢化社会において政府は各種対策を行っています。そのいきさつを知ると、どのような領域に政府が補助金などを投入しようとしているかが見えてくるかもしれません。
子育て支援、健康応援、婚活支援は、全てその背景に少子高齢化対策と関連するように見えます。このような背景のもと、公的な相談窓口が設置されていることがあります。
カウンセリングの枠組みを柔軟に活用する
最後に、制度上の話ではなく、意識の中でカウンセリング利用の枠組み自体をカスタマイズする方法があっても良いのではないかと考えています。
例えば、カウンセリングのスポット利用です。定期的に通わなければならないという意識を外し、年数回のカウンセリングという枠組みに置き換えてみる方法です。
これにより費用を年間3万円程度にできます。
全ての方や、全てのテーマに応用できるものではないとは思いますが、何かの意味をもたらす可能性もあるとは思います。
まとめ
料金に関する考え方は様々あります。
電話相談、自治体が運営する相談窓口、学校内の相談窓口など、これらを活用すれば多くの日本国民が回数は少なくともカウンセリングを受けられる可能性は格段に広がりました。
どうしても料金を抑えなければという場合には、それも一つの検討余地のあることであります。
カウンセリングをはじめて思い立つ人を想定したコンテンツを作りました。
- 関連ページ:初めてのカウンセリング