最終更新日 2023年12月10日
臨床心理士は、病院や学校などの組織に所属してカウンセリングを行うことがほとんどであるが、その他に、私設心理相談領域と呼ばれる分野で活動することがあります。
臨床心理士の個人開業
一般には、これを開業と呼びます。
組織内で継続的な活動を心理士が行うことに大きな意義があることはもちろんのことですが、開業には、開業の意義があると考えています。
カウンセリングルームと呼ばれる機関がありますが、その場合、複数の臨床心理士が協同している場合がほとんどだと思います。
その運営体系も様々で、病院がカウンセリングルームを運営している場合、代表となる臨床心理士が運営している場合、その他、一般企業が運営している場合等があります。どこまでを開業と定義するかは、意見が分かれそうであります。
ここでは、特に、個人開業に注目したいと思います。一人で、機関の運営から直接のカウンセリングを担当するというスタイルです。全国には多数存在しています。
個人開業は独立性を持つ
個人開業の特質を挙げるならば、その独立性があると思います。臨床心理士ないしは心理臨床家は、一つの独立した専門職であると考えますが、組織内では、その独立した専門性をそのまま活用できない場面も多々あります。
それを認識したうえで、独立した専門性を発揮している臨床家が数多く存在することは言うまでもありませんが、しかしながら、開業の場では、この点が発揮されやすい環境であると言えるでしょう。
我々がその専門性を十分に発揮することにこそ我々の存在意義があるのではないかとさえ感じることがあります。
心理臨床家は、教育や医学とは全く異なった独自の考え、視点を備えています。
別頁でも触れていますが、モデルそのものが異なると言えるでしょう。
開業の場では、これらの視点を中心とした活動が可能になると言え、所属する組織の意向や方針から影響を受けません(それでも社会や世間というものからの影響は知らず知らず受けているのだと思いますが)。
必要としてくれる人
ある物事について、教育や医学の分野の理解では、どこかしっくり来ない、とか、何か別な意味があるのではないか?などと、このような探求を希望されている人は意識しているかそうでないかは別にしても、決して少なくないように思います。
そのような時、全く別な視点で自由に様々な方向性の可能性を探索できる機関として、開業心理臨床の場がクローズUPされるのではないかとも思うのです。
その他
その他にも、開業カウンセリング(心理臨床)の社会的意義は幾つか挙げられると思っています。
おそらく存在すること自体にも意義があるのではないかと思います。
実際に相談に訪れなくとも、何かの際にはあそこにそういう機関があるのだという認識が自然と地域の中で安心感を生むという効果です。
よく税金の無駄遣いという批判で採算のとれていない公共機関がやり玉に挙げられます。
これは経済観念に換算した場合であり、本当の必要性はそれでは測れない機関が多数存在するのではないでしょうか。