最終更新日 2023年11月11日
コンサルテーションは、定義の仕方に様々あるが、基本的には、ある専門家が、別な専門家へ助言することを指している。
この場合、コンサルテーションを行う側を、コンサルタントと呼び、受ける側を、コンサルティと呼ぶ。臨床心理士が、精神科医に助言を求めたならば、臨床心理がコンサルティ、精神科医がコンサルタントということなになる。
もちろん、逆な立場になる場合もある。
コンサルテーションとは
また、地域援助の場面においてもコンサルテーションが用いられている。例えば、ある地域でストレスに対する啓蒙活動や、その対処に関するプログラムを考案しようとする動きがあったととする。
実際に、実行にあたっている人は、地域の中で動いている人々である(例えば市役所職員)。その中で、市役所職員が、作成したパッケージについて、臨床心理士に専門的な立場からの意見等を求める動きが起きることもあるだろう。この場合にも、コンサルテーションが用いられていると言える。
この場合、相談を受けた臨床心理士は、実務にはかかわっておらず、実際の活動は市役所職員が行うものである。
市役所に限らず、このような活動は学校や企業、その他諸々の領域でも行われている。スクールカウンセラーの活動においても、しばしばコンサルテーションの重要性が主張されたりもしている。
個別相談における場合
さて、コンサルテーションとは単に、元々もっている専門知識を提供するだけの行為だろうか。
カウンセリング同様、もし専門的知識の提供だけに終始するならば、それは一般論に近い形になるのではなかろうか。
実際の現場では、一般論の通りになることは少ないものであるから、コンサルテーションにも「個別性」が求められるのではないだろうか。
一般論で解決されることには概ねコンサルテーションは活用されない
カウンセリングでよく話題になるのは、カウンセラーのアドバイスにまつわることであるが、コンサルテーションでもやはり同様の事が言える。身近な人のアドバイスで解決した事柄でカウンセリングに訪れる人がそもそも少ないように、本に書かれた知識や同僚同士の会議で解決されるような事柄でわざわざコンサルテーションを活用することにはなりにくいのである。
これは一般人が法律家に相談しに行く時のことを想像すると少しイメージがつきやすくならないだろうか。ちょっとした法律知識ならインターネットで検索すれば解決することも多数なのである。
臨床心理士独自のコンサルテーション
では、臨床心理士が専門的行為と言って行うコンサルテーションとはいかなるものなのか。
ナラティブな視点から言えば、それぞれの物語があるわけだから、物語に沿った形の助言を探す事の方が肝要ではないかと思われる。
ここに、心理臨床家がコンサルテーションを行う場合の独自性があるのではなかろうか。もちろんナラティブな視点に限らず、システムズ・アプローチでも、ソリューション・フォーカストでも良いわけであるが、現場に役立つものを我々は目指すべきであろう。
我々は、目の前の人越しにしか、援助を行えない者である。いつでも、主体は、相談にお越しになった方であり(コンサルティ)、コンサルタントは、黒衣役である。
これは、カウンセリングを行う場合と同じものであると考えている。
まとめ
臨床心理士によるコンサルテーションは、カウンセリングとは別な行為であるが、地続きの専門行為である。そこにはカウンセラーとしての一貫した態度が求められる。つまり、他職種への尊敬と信頼があって成立する行為であると考える。