最終更新日 2024年10月8日
臨床心理士が活動する7つの領域は非常に多岐にわたります。その中には、産婦人科領域に従事するカウンセラーもいます。
産婦人科での活動は想像しにくい方が多いと思います。
そこには精神医学とは別の観点から援助を行う者というアイデンティティがあると考えています。
産婦人科とカウンセリング
産婦人科を考えた時、やはり、カウンセリングなどによる、心理援助の存在意義は大きいと感じます。
子供を出産する過程には、非常に繊細な心の動きがあるのではないでしょうか。
親になるという圧倒的な実感との直面
例えば、妊娠する前から、子育てへの不安を覚える人も少なくないはずです。一体、自分は子供を育て上げられるのか、夫婦で協力していけるのか、両親ももう若くはない、などと考えると、現代社会には多くの不安要素があることがわかります。
このような不安の中で出産を迎えるまでの日々を過ごすかと思うと、ただただ喜ばしい出来事ということだけでは済まないこともあるのではないでしょうか。
喜びすぎて周囲がケアを忘れてしまうことも起こり易いといえる事柄だと思います。めでたくて、どこかで祝杯を挙げている身内がいる最中でも、当人は些細な体調の変化に不安を覚えるような、そんな構図もあったりでしょう。
生命の誕生は、本当に繊細な営みであると感じます。掌でそっとそっと温め続けて・・・というぐらいのイメージをもっています。
核家族化の中での出産
産婦人科のHPを幾つか拝見すると、臨床心理士が在籍している病院も散見されるようになりました。
出産にまつわる現代社会特有の一つの特徴は、核家族化です。或いは、首都圏への人口一極化でしょう。さらには、働く女性が増えたことも大きな要素です。
頼りになる存在が周りにいない中で、出産の日と、その後の子育てを迎える人が増えているわけです。
このような時、専門家の存在がその一つの代わとなるのでしょうか。
実際には、里帰り出産や、実家との行き来を頻繁にしている方も多いと想像していますが、それでも夫婦二人でという家庭も増えているのでしょう。
その他
ここに挙げたことはほんの一例ですが、その他にも妊娠、出産には不妊をはじめ多くの心理的テーマとなり得ることが含まれていると思います。
現代における特有の大変さはあるにしても、その経験はやはり人間的成長を生む機会にもなることでしょう。
臨床心理士とはその過程に添おう存在であろうとする者と一つの定義が成り立つでしょうか。
補足として
出産を中心に述べましたが、婦人科領域と臨床心理士のもう一つの接点に「心身症」的不調も挙げられることがあります。
具体的には、更年期障害や月経困難症などのことです。
ストレスが婦人科領域の諸症状と関連することがあり、心身一体的なアプローチに臨床心理士が共同して取り組むことがあります。