臨床心理士の専門性は大きく分けると、4つに分類されます。その中の一つに臨床心理的地域援助が挙げられます。
個別のカウンセリング(心理面接)では、個人を対象とすることがほとんどですが、臨床心理的地域援助では、学校、職場、地域などの単位を支援しようとします。地域などの単位を対象としたコンサルテーション活動という言い方もできるかと思います。
臨床心理士的地域援助の例
例えば、ある職場に従事する臨床心理士が、パソコン使用による目の疲れや、肩の凝りが目立つことを職場の管理職から相談を受けたとします。多くの職員がパソコンによる負担を我慢している中で臨床心理士の専門性から何かの支援ができないかと相談を受けたわけです。言い換えれば物理ストレスに関する相談です。
これは臨床心理的地域援助の活動に含まれると考えられます。
パソコン疲れの対策講師
直接的な支援方法としては、リラクセーション法の講習会などを企画・開催するなどが考えられます。
リラクセーション法は、個別の面接の中でも用いられることがあり、その応用で一般社員にも役立ててもらえる可能性があるものです。例えば、自律訓練法や、漸進的筋弛緩法を背景に、講習のプログラムを練ることが可能です。
このような実践を通して、従業員の間で、「パソコンで疲れた時は講習で覚えたリラックス法を試してみることにしている」、などという変化が得られるかも知れないわけです。この例では臨床心理士が担当していますが、看護師や保健師が担当していても不思議な内容ではありません。
講師登録する人もいる
生涯学習講師や市民講師を募集している自治体があります。
私も、臨床心理士として千葉県の運営するサイトに講師登録をしています。これは臨床心理的地域援助の一環と言えるでしょう。
数々の活動が成されている
その他、数々の活動がなされています。先ほどの例は物理ストレスという少し縁遠いテーマに感じられる人もあるでしょう。他にも、新人研修の担当、子育ての支援の関係グループワークや講師役、就労支援現場や他専門職への講師役など多様な活動があります。
心理臨床学会特設ホームページにおいても、その実践を確認することが出来ます。
災害が起きた時、我々の専門性からも何かお手伝いできることがあるように思います。或いは、社会からの要請が発生します。そのような時、個別の心理援助の蓄積は意味を成します。そのままを応用することもあれば、創意工夫を加え、個別以外の支援方法とすることもあります。
意味のある活動をしなければならない
どうにかこうにかでもやらざるを得ないという目の前の現実があるにしても、臨床心理的地域援助の実際は、難しい所もあると思います。
個別の臨床経験はされを支えるものとなるはずです。それを抜きにしては語れないものではないかと思っています。
支援を急ぐ時、気持ちばかりが焦るものですが返って迷惑をかけてしまうことがあります。いわば倫理観に関することになりますが、この感覚を養わないままには活動できないものです。
当オフィスにおいても勉強会等を開催することがありますが、やはりそれは普段の活動から蓄積されたことを土台にしています。
※支援のつもりが逆に負担を増やしてしまう事もありますから、よく考えて行動しなければなりません。
当オフィスでも、実践準備をしています
これは当オフィスなりの臨床心理的地域援助の一つの形です。