プライマリケア医がうつ病の初期対応を行っていることがある

新たな組み合わせ

最終更新日 2025年2月22日

うつ病を治療する専門診療科は精神科です。

ここには多くの人が納得するところだと思います。

一方で、精神科以外の科でも一部診察がが行われるようになりました。

プライマリケア医がうつ病の診察を一部行っている診療科がある

まず、心療内科は精神科と同様にうつ病治療の診療科であることを多くの人が想像するところです。

本来は、うつ病を対象としているかといえば、違うと言うべきかもしれません。

心療内科は、心身症を専門としているためです。

関連ページ:心身症

2025年現在においては、「精神科・心療内科」のように二つを同時に掲げるクリニックがほとんどであるため、この区分けが薄れてきています。生粋の心療内科医は少ないのですが、その先生方からすると現状に疑問を覚えているかもしれません。

ここまではよく話題になる事ですが、他の診療科でも診察が行われていることがあります。

昨今よく聞かれるようになったプライマリ・ケア医とは

守備範囲が広い

昨今プライマリ・ケアという言葉がきかれるようになりました。

そのまま日本語にすれば初期対応です。

このプライマリ・ケア医が可能な範囲で主治医となってうつ病の治療を行う場合があります。

プライマリ・ケア医の診察で完結することもあれば、重症度に応じて精神科へ橋渡しすることもあります。この見極めが難しいのでしょう。

現在のメンタルクリニックはどこも予約がたくさんであるとの現状をよく耳にします。

そのような時、診察を受けることがだいぶ遅くになってしまう人が出てしまうという懸念もあると思います。

プライマリ・ケア医はその溝を埋めているのかもしれません。

精神科医よりも先にプライマリケア医が接触している可能性は大いにあると想像しています。

眠れない、肩が凝る、吐き気がするなどという理由でもしかすると総合的な窓口に受診しているかもしれないからです。

連合学会があり、詳しく解説されている

日本プライマリ・ケア連合学会 のHPには、その活動が詳しく解説されています。

ここでは、総合診療がプライマリケアであるとして述べられています。そして下記のような説明が加えられていました。学会ホームページからの引用です。

患者さんを多角的に診ること 家族や生活背景まで診ること 地域全体を診ること

さらには、下記のように説明しています。

総合診療医は内科、小児科を中心に整形外科、 皮膚科、緩和ケアまで幅広い医療教育を受けています。専門医の先生と協力し、地域の健康問題に総合的に対応しています。

昔、お医者さんと言えばなんでも診てくれるイメージがありました。とりあえずあの先生のところに行こうという具合にです。子供でも大人でも皆同じ医院に近所の人が集まったものです。それも何十年もです。

そんな感じの病院を想像させる専門性に見えます。

また、厚生労働省の資料に、総合診療の選考数が示されています。年々増えてきてはいました。

該当部分に線を引きました。2022年の総合診療は、250と記されています。

専攻医採用数 診療科別一覧表

出典:令和5年度の専攻医採用と令和6年度の専攻医募集について 厚生労働省

その他、YouTubeチャンネルもありましたので、より分かりやすいとと思います。ご参照下さい。

学会沿革

この学会は平成22年(2010年)に、日本プライマリ・ケア学会、NPO法人日本家庭医療学会、日本総合診療医学会合併により生まれました。

臨床心理士とプライマリ・ケアは協働の可能性を強く感じる

精神科ではなくプライマリ・ケアで完結できる方も少なくはないのではなかろうか。

イギリスの心理療法センターの仕組みを思い出すと、あながち外れてはいない考えかも知れません。

イギリスでは、軽度のうつ病の場合、精神科医ではなく心理療法センターに紹介されると聞きます。

これは臨床心理士界隈の話ではありますが、プライマリ・ケアがそこにはまるようにも思います。

むしろ、プライマリ・ケア医と臨床心理士がチームを組むという在り方もあってはよいのではないだろうかと思うところです。

精神科クリニックの混雑解消にも寄与する可能性がある

精神科クリニックは昨今相当な数が開院されています。

しかし地域差もあり、お住まいの場所によっては最寄りにあったとしても予約状況が問題となることがあります。

1ヶ月待ちなどということもある模様です。(或いはそれ以上も)

するとその間、医療に辿り着けない人が出てしまうわけですが、そこをプライマリケア医が埋めている現状もすでにあるのかもしれません。

その中には、臨床心理士のカウンセリングが適切という方もあるのでしょう。

その他、心身医学を学んだ医師+心理士などの組み合わせもあり得る

軽く提案

また、先に心療内科の専門性に触れましたが、そこをプライマリケア医が心身医学を学んで臨床心理士と協同して診療にあたるという場合もあってよさそうです。

医師の方が、気軽にリラックス法を活用したくなることもあるのではないでしょうか。現代社会は情報過多で刺激も強くどうしても交感神経が優位になりがちです。

或いは、心身症という枠組みを外しても心理士の活用には意義があると感じます。

禁煙外来などは、ほとんど行動療法のように見受けられなくもありません。

古代より、心身を一体的に診療していくことが元々の医療のやり方であったと聞きます。

体の方に寄っているのは現代社会になってからだということです。

専門化とか分化、すみ分けなどという言葉がどの業界でも聞かれますが、一周して結局のところ総合的なものの存在に改めてスポットが当てられてきている所なのかもしれません。

長い人生をともにできる病院が身近にあったらどんなに頼もしい事でしょう。

そしてその隅っこの方に臨床心理士もいて良いように思います。あくまで目立たない黒子のように。

まとめ

うつ病の診断概念がかつてとは変遷してきている事や、治療薬の開発などに伴ってか一部うつ病の診察は精神科医以外が担うということが起きています。

ただしうつ病の専門医ではないため、うつ病も診察をしている科として捉えて、混乱も一部あるのかもしれません。正確な知識を発信している情報源をあたる必要があります。

ここでは、うつ病を中心に述べましたが、その他にもたくさん臨床心理士との協同の意義がありそうな分野だと感じます。

実のところカウンセリングを行う際、一般の医師が定期的に診察を行ってくださっている際の安心感は心理士側にもあるのです。