最終更新日 2024年10月6日
臨床動作法を学ぶ過程で出会う方法論のことである。動作法では、「動作」を主たる主たる援助手段とするが、それは援助者が一方的に、動作させることではない。
課題努力法では、援助者側が提示した動作課題(腕を挙げるなど)へ、被援助者が取り組む。そしてその課題を達成しようとする。援助者は、その課題達成の努力過程を支援するのである。こうしたことを指して課題努力法と呼んでいる。そして、心理援助上の意義は、課題を達成しようと努力する過程での「体験」にあると考えられている。
※ここで言う「努力」とは、日常生活中で用いられる努力とは異なる意味をもっている。動作法では、身体運動が生起する際に、「意図」と「努力」の過程を想定している。
課題努力法の実際
まず、課題とは何かを考えると、臨床動作法であれば肩を挙げるとか、肩の力を抜くなどのことを指す。特に動作法では、セッション体験を重視しているため、宿題の様な課題提示の方法を取らないことが一般的である。
動作法でよく用いられる課題
動作法では、伏臥位・立位、仰臥位などで動作課題が作られていく。例えば、座った状態で、肩や肩甲骨周りを動かし、弛める課題などが挙げられる。
しかしながら、この課題も文章で書くほど、簡単ではない。自分自身の体の感じへ意識を向ける経験は、日常ではそれほど多いものではなく、肩や肩甲骨の位置を意識することさえ困難を覚える人もあるはずである。
何度か課題達成に向けた努力を繰り返す中で、徐々に体の感じへ意識が向いていくようである。
どのようにそれに努力して何を体験してか
課題努力法の中で、最も重要になることは、やはりセッション体験であろう。その課題へ取り組む中で、どのような体験がなされたかということが重要である。
そのため、肩がどのくらい挙がるようになったか、肩の凝りがほぐれたか、確かにこれらのことも重要なのだが、主題はこれらでなく、どのような体験をしたかという方になる。
肩や肩甲骨周りの課題では、自体を意識する体験をするかもしれない。また、緊張が和らぎ、リラックスしたという体験をすることもあるだろう。
逆に、無理に力を入れすぎたりして、痛みが生じたため苦痛を体験してしまう可能性もある。課題を提示した援助者側は、よりよい体験ができるように、援助していく役割であり、課題提示の内容にも工夫が必要である。
まとめ
以上、課題努力法に触れた。動作法以外の心理援助を用いる際にも、この視点は大いに意味を成すと考えられる。例えば、言語のカウンセリングでも、質問をCLに投げかける時、それは、質問の答えを探そうとする努力過程があるように感じている。
またカウンセリングの中で「努力の様式」に意識が向くことはよくあることである。