最終更新日 2025年1月18日
カウンセリングの種類は、対面以外の方法でも行われるようになってきました。その一つに、電話相談が挙げられます。
実際、遠距離で来室出来ない人のために、電話を活用して相談室も全国的に散見されます。そして、電話に限らず、WEBカメラなどを用いた昨今の新しい通信技術も活用され始めています。
電話相談を、カウンセリングの枠組みで考えると、対面においてカウンセラー側が考えていることが、電話相談の受け方にも役立つのではないかと思います。
ここでは、電話でカウンセリングを行うならば・・・という観点から電話相談を考えてみたいと思います。(数多くある電話相談=電話カウンセリング とは言えないと思っています。そして、色々な形があっても自然であるし、有意義とも思っています)
電話カウンセリングはうまく活用すれば、対面に近い感触を生む
電話は、目の前に人がいなくとも、話をすることが出来るという、人類の画期的な発明品です。これにより、物理的距離にとらわれず、多くの通信が可能になってきたのです。 ※因みに電話は、19世紀の後半に、グラハム・ベルによって発明されました。
電話相談は、医療・福祉・教育関係など各領域で行われてきました。その目的や趣旨によって様々な相談形態があります。
そして、カウンセリングにおいても、非常に可能性を含んだツールと見ることができると思います。
- 参考学会:日本電話相談学会
むしろ応用編とも言える行為
電話カウンセリングは、捉え方によっては通常のカウンセリングの応用型とも考えられるかと思います。
手術を例にすることが適切であるかわかりませんが、手術は原則手術室の中で行われます。それは、手術に適した環境が整っているためです。輸血や滅菌された器具、スタッフや人工心肺など、万全を期して行われます。
人の体をメスで切開して内臓が露わになったりするものなのですから、埃が舞っていたり、途中でメスや鉗子が足りなくなるようでは大変なことです。
このような環境下だからこそ、内臓を露わにしても安全に手術は進められるのです。(もちろん、戦場であっても目の前に傷ついた人がいれば、できる限りの事はなさるのだと思いますが、それはまた別な話として。)
カウンセリングも近いところがあると思っています。カウンセリングで語られる内容は非常にプライベートな内容であるため、プライバシーへの配慮を万全にしています。カーテンを閉めたり、他の人が不用意に入室できないようにします。
また、大事な話しの最中に何度も遮られるようなことがあっては集中できません。
カウンセラー側もCLの語りに全身全霊を傾けて集中しているのです。ですから微妙な言葉のニュアンスに気づいたり、不用意にずけずけと踏み込むようなことも避けられるのです。
これが、街角や酒場の中で行われたら、カウンセリングの質を担保することは遙かに難しくなり、成立は難しいでしょう。場合によっては不用意にずけずけと聞かれたくもない事を聞いてしまうような展開にもなりかねないと想像しています。
この感覚を電話にも応用するというわけです。
電話カウンセリングの料金や費用、頻度は対面と同様
さて、それでは、電話でカウンセリングを受ける場合、どのような点に留意したら良いのでしょうか。 まず第一に挙げられることは、面接構造に関することです。 面接構造は専門的な表現ですが、対面のカウンセリングを行う場合にも、中核的な意義を持つ概念です。電話の場合も、この概念を無視すべきではないと思います。
つまり、時間や場所、料金などを定めた上で相談を行うということになります。
これらは対面で設定されている料金や回数などと、同様か変則的な設定が活用できると考えます。
あくまで、一つの活用方法としてですが、電話相談というお気軽な手段を活用する、ということではなく、やむを得ず電話で相談するならば、それなりの準備をしてカウンセリングの枠組みに沿った形で有意義に活用しようということです。
これにより、実際のカウンセリングとかなり近いことが起きるのではないかと想像しています。
- 関連ページ:カウンセリングの頻度や回数について
集中できる場所があることが望ましい
場所と言っても、対面ではありませんから、どこでもいいのではないか?と感じる人がほとんどだと思います。しかしながら、どこで電話をかけるのか、これは非常に大事なポイントになると感じます。
いずれも可能な限りで・・・
- 一定時間、誰にも邪魔されない場所
- 声が家族や周囲に聞こえない空間
- ゆったりできること(温度や湿度なども重要)
上記の様な点は一つの参考になると思います。対面のカウンセリングでは、予約時間には、他の一切の訪問者が来ないよう完全予約制をとっている場合が殆どです。これは、カウンセラー側がそのようにしているわけですが、電話の場合は、電話をかける方もその点を気にする必要が出てくると思います。
もし、電話の途中で人が入ってきてしまうと、相談の流れは遮られ、大事な話しが続けられないこともあります。 自宅でそれが確保できないのであれば、どこか安全に電話できるスペースを外で探すくらいの事をしても良いかもしれません。
場合によっては対面以上に集中する
聴覚に意識が集中することで、場合によっては対面以上の集中を生むカウンセリングとなる可能性があります。
「時間設定」は、極めて重要な部分と考えられる
次に時間ですが、予め、何分と決めて相談を進める方が望ましいと考えます。対面でも、時間には非常に厳格になっているものですから、電話だけそれを外してしまうのも不自然です。 何より、時間が決まっていない場合、カウンセラーの都合で急に終了する可能性が出てくることが想像されます。
電話のどこかで必ず話そうと思っていた事柄も急な終了のために話題に出せず終わってしまうわけです。 予め時間を決めることで、例えば30分の内、何分ぐらいをその話題に使い、また30分の中の前半にするのか後半にするのかさえ選択することが可能になると言えます。
電話の冒頭で、カウンセラーと時間を合わせるなどの工夫が必要ではないでしょうか。 また、電話しながら見ることのできる時計を準備する方が良いでしょう。その場合、アナログ時計があるならば、その方が時間の経過がわかりやすいと思います。(好みはあると思います)
その他、電話相談開始の少し前から多少の準備をした方が良いかと思います。大げさな話ではなく、トイレを済ますとか、ラジカセやテレビの電源を切るなどの準備になります。後から気にならないよう、エアコンの設定温度などにも気をつかうと尚更相談に適した環境になります。
電話は固定電話を使いますか?それとも携帯電話でしょうか。充電は十分でしょうか。
- 関連ページ:CLのためだけに確保された時間の使い方は自由
対面よりは短めに設定しても良いかもしれない
集中力や消耗するエネルギーを考慮すると、対面よりは時間を短く設定する方が合っているかもしれません。
カウンセラーと相談者双方でズレを最小限に留めるための確認をしていく
これは、電話に限ったことではありません。
時にカウンセリングにおいても、勘違いや誤解が生じたまま話が進んでしまう事があります。
電話では音声が途切れたり、身振りがあれば伝わったことでもキャッチしきれないことがあり得ると想定されます。
- カウンセラー:<今、少しだけ音声が途切れてしまったようですが、私の声が聞こえましたか?>
- クライエント:「いえ、実は最後の所がよくわからなかったんです。もう一度いいですか?」
- カウンセラー:<大事なところが抜けてしまってすいませんでした。実は・・・・・>
- クライエント:「ああ、それでしたら、もう済んでますよ。ご心配かけましたね。」
このような具合にです。仮にカウンセラーが無視してどんどん話を進めてしまったら何かがずれたままになってしまい、もしかしたらなにかのはずみに信頼関係を壊す可能性もあります。
- 関連ページ:信頼関係とは
まとめ
以上、簡単にではありますが、電話相談をより有意義にするための活用方法について述べてきました。なぜ、こんな面倒なことをしなければ行けないのか?と思う方もあると思いますが、大事なお話しですから、やはり可能な限りしっかり相談に集中できる環境を整えることが前提になると思います。※やや固めに書きすぎている箇所があります。理想だとお考えください。
もちろん、それにより実施できないと言う事であれば、公園の片隅で、或いはどこかの駐車場の車の中のような場所からご活用いただくのも悪い事ではありません。
- 関連ページ:カウンセリングにはたくさんの種類がある