最終更新日 2024年8月20日
カウンセリングはもちろん技術という面も備えていますが、ある程度の信頼関係なしに成立するものではありません。
では、カウンセラーとの間に相性は存在するのでしょうか。
カウンセラーの経歴やオリエンテーション
カウンセラーの経歴やオリエンテーションも、相性を構成するファクターと言えるでしょう。
あまり学派ないしはオリエンテーションまで気にして、カウンセリングを受けに行く方は少ないと思いますが、もし、より詳しく調べてから行きたいという事であれば、カウンセラーがどのような立場の人であるかを知ることで、カウンセリングの進め方や内容を推測しやすくできることでしょう。
どのような学派・オリエンテーションがあるかについては、関連ページの、「日本におけるカウンセリングの歴史」を参照していただくと、概観できると思います。
カウンセラーの学派を知る方法
カウンセラーの学派を知るには、直接問い合わせて尋ねるか、プロフィールなどから確認する方法があります。その他、本を出版していたりしたらそれも手がかりになります。
- 所属学会から推測する
プロフィールを参照する場合には、所属学会が一つの参考になります。
例えば、日本認知・行動療法学会(外部サイトへ飛びます)に所属していれば、認知行動療法を専門的に学んでいる可能性が高いと言えるでしょう。
また、日本臨床動作学会(外部サイト)であれば、臨床動作法を学んでいる可能性があります。
幾つも所属している場合もありますので、その場合は少し複雑になります。ですが、これもよくあることで、複数の学会に所属して幅広く学んだり、主な学派と、副領域とを分けて学ぶような専門家もいます。
概ね、まずは一つの学派を一所懸命勉強するように指導されているはずです。そして、5年、10年と経つ内に、別な学派の事柄にも興味を持ち、新たに勉強する場合があります。
心理臨床学会については、学派の推測に関して参考になりません。この学会は、多くの臨床心理士が所属しており、多学派が雑多になっています。
あまりはっきりしないカウンセラーもいる
印象ですが、かつてほど、私はこの学派ですとはっきり言い切るカウンセラーは少なくなっているように感じています。
本当はあるけれど、あまり公言はしないでいる場合もあるとは思います。臨床心理士の人数が急激に増え、3万人もいるため、かなり多様化してきたという風にも説明できる現象かと思っています。
学派に拘らず、偶然の出会いを
学派・オリエンテーションについて述べてきましたが、カウンセリングの本質を考えた場合、あまり学派は重要ではないとも思えて来ます。
この点は、色々なまとめ方考え方ができるためどう表現するかは難しい所がありますが、学派の違いを、「主たる援助手段の違い」と捉えれば、動作法であれば「動作」を、表現療法であれば「絵」などを主たる援助手段にするわけです。
また、「言語」を主とするものが多数です。(その援助手段を元に、なんらかの「体験」が得られているものと捉えられかと思います。)
そして、「動作」で得やすい体験があり、起きにくい体験があり、「言語」で得やすい体験があり、起きにくい体験があります。
そして、カウンセラーの熟練度などもそこに別な要素として関係します。
カウンセラーの経歴
資格の他に、臨床経験も参考になります。
資格取得と同時に開独立業する臨床心理士もいるかもしれませんが、多くの場合なんらかの分野で従事した経験を持っています。
主に医療関係で活動したカウンセラーなのか、教育や産業関係で活動していたのか、これらを参照すると、大よその経験が想像できます。(しかし、あくまで経歴であり、実際の臨床経験はわかりません)
例えば、精神科にて活動していたカウンセラーであれば、うつ病や適応障害などのため通院していた方と会っている可能性が高く、学校で勤務したカウンセラーであれば、不登校などの相談を受けていたことが想像されます。
また、活動経験として、カウンセリングのように相談を主に活動してきたのか、調査や研究、検査などを中心にしていたのか、こういった違いもあります。
そのほか、所属している学会や団体もカウンセラーそれぞれです。職歴だけでは、そのカウンセラーがどのような分野に特に力を入れてきたのか、あるいは特定の分野に限らず活動してきたのかはわかりません。
完全に相性が合うカウンセラーはいないのでは?
カウンセラー以外の人間関係でも、相性は時々話題になります。例えば学校の教師との相性、上司との相性などです。
相性が合わずとも、学校に通いますし、仕事を続けていくものです。
もしかしたら、その人たちに苦手さを感じている人も多いでしょう。
そんな時、部長にこんな話しても仕方ないし・・・とか、先生に言ったら必ず怒られそうだ・・・なとと考え、付き合い方を考えるのではないでしょうか。
カウンセラーとの関係の場合にも、同様のことが言えると思います。カウンセラーとの間に相性があるかないかという点に回答するならば、それはあると言えるでしょう。しかし、だからと言って完全に相性が合わなければ、カウンセリングは成立しないものでもないと考えています。
カウンセラーにはわからないかもしれないが・・・というぐらいのスタンス
結局のところ、カウンセラーを何度も変更することは非常に労力のかかることです。また、そのカウンセラーしかいないという状況の場合もあります。 相性が良いカウンセラーの方が確かに望ましいように感じられますが、しかし実際的に、そのカウンセラーに出会えるまでには時間がかかるのだと思います。
もちろん探し続けることも一つのやり方だと思いますし、早く変えた方が望ましい事さえあるでしょう。
最近では、以前に比較してカウンセリングに関する情報を得やすくなってきました。HPを持つカウンセリングルームも多く、自分の得意とするアプローチ法やその他諸々の事に関して詳細な説明がなされている場合もあります。
中には、顔写真を掲載しているカウンセラーもいます。
そこに示されていることが、どのくらい妥当であるかは、やはりわからないものに違いありませんが、それでも以前よりは多少の手がかりが得やすい時代になったと言えると思います。
カウンセリングというと、何もかも話さなくてはいけない相手というイメージがあると思いますが、必ずしもそうではありません(話すべきであると考えるカウンセラーがいる可能性も十分あります)。相談者には、話さなくても良い自由があるわけです。 特にはじめてのカウンセリングの場合には、警戒心を持って臨むくらいがちょうど良いのではないかと感じています。
何もかも話さなくてはいけないのだとしたら、それはやはり時間をかけてでも相性のマッチするカウンセラーを見つけたい気持ちになるでしょう。