最終更新日 2024年8月7日
カウンセリングで何を行って来たかと訪ねられたらば、一つにはご心情に添うということが挙げられると思います。「カウンセリングってアドバイスとかないものなんですね」という世間のカウンセリング対する印象があるでしょう。
何もしていないように見えるかもしれませんが、クライエントが体験していることに添おうとする存在であるとも言えるわけです。「カウンセラーがもっとこういう話をしたり説得してくれるといいんだけどなぁ」というクライエントを取り囲む周囲の人達の感想もあるでしょう。
カウンセラーは体験に添おうとしている
また、クライエントのためにとカウンセラーが気を利かせ、電話を一本入れてみたり、何かの道を説きはじめたりと、あっても良さそうな話ではありますが、基本的にこういうことは行っているつもりはないのです。以前も記事にしましたが、カウンセリングは非日常的な時間であるということを述べてきました。
不思議なタイミングで現れる教える人・止める人・励ます人など
確かに、この事をカウンセラーがお伝えした方が良いと思われることもたくさんあるでしょう。例えば、新しく引っ越しを考えている方へ、周辺の不動産情報をカウンセラーが調べてお渡しするなどがそれにあたるでしょう。
こうしたことを行ってはいけないというわけではないと思いますし、時にこのような展開になることも十分あり得ることだと思います。
もう一つの発想として、やはりカウンセラーはあくまで非日常的な存在なのであるということと、クライエントの現実生活のリソースを信頼するということが大事なのではないかと感じます。
不思議なことにそのことを行う人がタイミングよく現実生活の中でも登場することがあります。新しい出会いの中でということもあれば、それまで身を潜めていたかのような人が、際立ってきたのか登場するなどがあります。
カウンセラーが手をまわしているのではない
例えば、上記のように不動産情報ということであれば、知人に連絡を取るとか、PCを操作するとか、不動産屋へ足を運ぶなどの行動が必要となってくるわけですが、引っ越し先に古くの友人がいて力になってくれるかもしれないわけです。
仮にカウンセラーがでしゃばっていたならば、その古くからの友人との親交を阻害してしまったということにも繋がりかねないわけです。または、引っ越しに伴って体験する諸体験を奪ってしまうという可能性もあり得るでしょう。
また、人に限らず、何かの出来事がその役割を担うこともあるでしょう。偶然新入居者期間限定割引(安全な)などがはじまったとしたら、その流れに乗って引っ越しがはじまるという可能性も想像されます。この場合、割引というイベントが、引っ越しを後押しした存在ということになるわけです。
カウンセラーが気を利かせたことが的を得ているとも限りません。カウンセリングでは、クライエントを取り囲む環境や人の力を信頼し敬意を払う態度が重要であると感じます。それが、体験に添うということの一つの説明になります。また、カウンセラーが行っている仕事の一つでもあるわけです。
まとめ
共感や受容という言葉もそうですが、「添う」ことは非常にはっきりしない行為として映ると思います。
それがカウンセリングの中核概念だというのですから、「カウンセリングはよくわからないもの」として位置付けられてしまう事もあるのでしょう。社会に存在する他の物事と肩を並べて論ずられるべきなのかどうかさえわからにというのが正直な所だったのではないかと思うところです。