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やはり、うつ病は増えているのか?

暗く沈む カウンセリングに関して

最終更新日 2024年1月13日

現代社会はストレス・うつ社会などと言われるようになって久しいものです。

では、どんなことが我々のストレスとなっているのでしょう。

また、ストレスもあいまってか、心身の不調があらゆる分野で意識される機会がありました。

昨今では職場のメンタルヘルスに関連して、国をあげてストレスチェックがはじまりました。

うつ病は増えている?

現代社会においては特に、うつ病と適応障害がクローズアップされています。

これは就労現場で休職の背景に、うつ病、適応障害があり、そのことも関係しているのではないかと思われます。

2000年代後半にメンタルクリニックが増えた

メンタルクリニック

1970年代頃は、都内にメンタルクリニックはごくわずかであったそうですが、10年くらい前に聞いた話では600件以上のメンタルクリニックが都内に開業されていたと記憶しています。その後、益々増えている模様です。確かなことはわかりませんが、予約待ちのクリニックも少なくないと聞きます。

人口40万都市の柏市内にも、2,3件ではなく、Googleで検索するとぱっと見で5件以上がすぐに目に入ります。

この増加をどう捉えるかは、様々な観点から検討しなければなりませんが、少なくともニーズは存在しているのでしょう。

2009年には、NHKでうつ病が特集されたこともありました。

東京都の報道発表資料によると、精神科を標榜する診療所は1368件(令和2年)

東京都発表の報道資料によると、精神科診療所は1368件、心療内科は962件とあります。これらは「重複計上」と書かれているので、メンタルクリニックが1368+962件建物としてあることを意味していない。例えば産婦人科が同時に週1回は精神科を標榜しているというような場合がある。

このような場合、「メンタルクリニック」とは通常認識せず婦人科クリニックと認識することでしょう。(と、いうことなのではないかと読みましたが、後日精査します)

肌感覚としては、精神科医が「心療内科・精神科」を標榜しているメンタルクリニックがほとんどであると認識しています。

この資料によると、平成30年から令和2年までが示されており、年々増えています。

よりリアルな感覚を得られるデータとしては、東京都保健局作成の「みちしるべ」があります。

ここに東京都内の、精神・神経・心療内科診療所の一覧があり、941件掲載されています。

だいたいの規模をご想像頂けるのではないでしょうか。

クリニックは増えても予約はいっぱい

ひ~目がまわる~

これほどメンタルクリニックが増えても、受診者が一杯ということであれば、一人当たりに割ける時間も限られてくるはずです。

8時間の診察を医師一人で行った場合を仮定してみました。

8時間とは、480分です。

患者数10名では一人当たり48分、20名では24分、30名では16分です。

30名くらいまでですと、割と時間を確保できている印象を受けます。もちろん、カルテ記載や診断書作成、小休止なども当然含みますから、実際にはもっと少なくなります。

さらに患者が増えると、状況は厳しい印象に変わります。

40名では、12分、50名では9.6分、60名で8分です。

うつ病等で通院している人はどのくらいの人数なのか

厚生労働省 心の病気の患者数の状況

参照元サイト:厚生労働省 心の病気の患者数の状況

1996年から2017年のデータを厚生労働省が作成しています。このデータによると、「気分障害など」(ここにうつ病性障害も分類)の分類の人数が1996年が43.3万人だったのに対して、2016年には127.6万人に増加しています。

心療内科の標榜認可、保険制度や診断概念も変遷したりと、これは単純比較できるものではないのですが、3倍になっています。SSRIの登場も無関係とは言い切れないとの意見を聞くこともあります。

  • 1994年:DSM-4出版
  • 1996年:「心療内科」標榜可能となる
  • 1999年~2006年頃順次:SSRI
  • 2000年:DSM-4-TR出版
  • 2013年:DSM-5出版

※コロナ以前のデータです

厚生労働省による「患者調査」の統計によれば、令和二年は127万2千人(推計値)

厚生労働省患者調査では、より詳細に疾患別の推計を出している。

このデーターによると、入院・外来合わせて平成8年が20万7千人だったのに対して、令和2年では127万2千にとなっている。

うつ病の患者数推移

※出典:厚生労働省 令和2年患者調査 傷病分類編(傷病別年次推移表)疾病別一部抜粋

上の表データを折れ線グラフにすると、その推移がわかりやすくなります。

うつ病患者数の推移線グラフ

予てからのうつ病自体はそれほど増えていないとの主張がある

うつ病は、人生の思秋期に現れやすいとされてきました。それは長年働いてきた中高年の時期です。しかし、昨今のうつは、そのイメージとは別な形になっている模様であり、予てから認識されているうつ病患者が増えているという事ではなさそうであるという見解があります。

休職は社会に注目されるようになってきた

国家公務員の全長期病休者のうち、7割以上が「精神・行動の障害」によるとのデータがあります。そしてその数は昭和の何倍にもなっています。組織・企業側としてはかなりメンタルヘルスに力を入れるようになっています。

臨床心理士のカウンセリング

臨床心理士にも社会的な要請があり、何らかの心理的援助を行う機会が益々求められています。

心療内科や精神科の中では、医師と臨床心理士が並行して診察とカウンセリングを進めることもあります。

心身のリラックス

又、不思議に感じる方もあるかもしれませんが体にアプローチする方法も注目されています。

心身への負担が極力少ない方法が提案されるのは望ましい事だと思います。

 まとめ

概観すると、うつ病はとにかく爆発的に増えている、という表現とは異なる印象となりました。受診者が増えているのは確かでした。

肌感覚としては、年々忙しく、余裕が徐々に削られてきている社会というようには感じています。こうした社会の余裕のなさは、人を追い詰める要因にはなっているのでしょう。少子高齢化に起因する労働者不足の問題など背景には巨大なものがあります。

それはさておき全体を見渡すことも重要ですが、困難を抱えている方にどう支援できるかが大事である点は動きようがありません。

関連サイトにて、現代社会のストレスとについても触れています。

うつ