この言葉は、我々心理臨床家が用いる以外にも非常に広義の意味で使用される場合があります。
つまり外来語として、日本語として使われているわけです。
これは会議をカンファレンスと言い換えるような使い方に近いかと思います。
巷で使われる広義のカウンセリング
幾つか巷で使われる場合のカウンセリングの用法に触れます。
実は多くの人が既に日常的に経験しているやり取りの中にそれはふんだんに用いられているのです。
化粧品業界でも使われている
化粧品の説明を受けたことはありませんが、もちろんカウンセリングを行っているわけではありません。
肌質に合った化粧品はどれか?などというやり取りを交わすのではないでしょうか。
しかし、その人に合った化粧品を・・・などと探していく過程は確かに近いものがあると感じます。
これを「化粧品カウンセリング」という具合に用いています。
歯医者におけるカウンセリング
歯医者においてもカウンセリングという言葉が用いられています。
ですが、これも心理面接を行っているわけではありません。(※昨今、歯科が臨床心理士を雇用している場合があるので話は複雑になりますが・・・)
歯科の場合は、やはり説明に近い表現かと思います。
或いは、ムンテラ(ムントテラピー)に近いかと思います。昨今は、これをインフォームド・コンセントと呼び変えているようですが、その深意はまた深い考察を必要とするため触れません。
あんぜ「ムンテラ」という言葉が聞かれなくなったのかは不思議な所です。おそらく患者さんに対して使う言葉ではないといういう事なのでしょう。
レントゲンを撮った結果、こういう治療が考えられます、とか、セラミックで宜しいでしょうか?などというやり取りが交わされているのではないでしょうか。
心理面接とは違いますが、どこか心理ケアも含まれた感じがします。自費診療を推し進めるような感じですと、それはセールスに近い時間と言えてしまうでしょうか。
美容院ではどうか
美容院でもこの言葉が目に入ります。病院ではありません。
ここでは、髪の色の染め方をどうするか、どのくらいまで短くするか、ボリュームはどうするか、などと話し合われるのではないでしょうか。
しかし、ここでもまた、その人らしい髪型を探求していく作業と言い換えればそれはやはりカウンセリングに近いものとなってきます。
実際、髪を切ってもらった際に「まさにカウンセリングだ・・・」と感じた事のあるカウンセラーはいるはずです。
もしかするとケアを意図しているのかもしれない
心理カウンセリングとは異なるという事を強調してしまいましたが、心理的ケアをしようとする意図を感じないでもありません。
突き詰めて行けば、同じところに至るように思えて来ました。もしかすると、広義とか狭義とまとめようとしたことがナンセンスだったのかもしれません。
美容院の方も、化粧品を扱う方も直接的ではなくとも、なんらかの関係で結果的にカール・ロジャースを学んでいたのかもしれません。
我々が行っているそれは、指導でもなければ、教育でもないとよく言われます。
自己解決を基本とする方法と言えるでしょう。
化粧品店の方の説明や、やり取りを通して自分に合った納得の行く口紅を決めることが出来たならそれは自己決定による自己解決ですから、まさにカウンセリングにおいて起きそうなことなのです。
- お客さまには、この色が絶対に合うと思いますよ。いえいえ、他のものを買うべきではありません。
などと一方的に店員さん側の主張を押し付ければそれは本義とはかけ離れた行為と言えるでしょう。
- 参考:日本における原点は、伊東博のカウンセリング辺りを入り口にすると辿り着くことができるかもしれません。
精神科の医師は「診察」と言うはずだが、時に混同されている
最後に、病院でのことに触れておきます。
時々、精神科や心療内科の診察が「カウンセリング」と呼ばれています。
これは非常に難しい所です。
このサイトで、「カウンセリング」と呼んでいるのは、概ね臨床心理士等が行っているカウンセリングを指しています。
つまり、カール・ロジャーズにより来談者中心療法のことを狭い意味で差し、また、精神分析やソリューション・フォーカストアプローチなど他の方法も一まとめにして、総じてカウンセリングと言っています。概ねこのどちらかです。(関連ページ:カウンセリングにはたくさんの種類がある )
今、ご希望になっているのは医師の診察でしょうか?それとも臨床心理士が行うようなカウンセリングでしょうか?この点は区別が必要です。
まとめ
日本においてそのイメージは千差万別であると認識した方が現実に近いかもしれません。
これを是正するための啓蒙も行われていいるのですが、それほどイメージが変わっているようにも思えないのが不思議な所です。
もはや我々心理臨床家ははっきりと、心理療法という言葉を使うべきなのかもしれません。
